2015年8月9日日曜日

お弁当から唐揚げが突然なくなった

今年もまた7月下旬の特別ゼミが行われた。

連日、演習室にこもって、卒業研究の抄録やポスターを作成する。




(今年の特別ゼミの様子。それにしても乱雑な机の上だな。)




それまで卒業研究をなめていたゼミ生たちは、ここで厳しさを思い知るのである。

まず抄録の内容で合格をもらい、次に抄録の書式で合格をもらい、次にポスターの下図で合格をもらう必要がある。

この合格は、簡単にはもらえない。

私から何回もダメ出しをされて、イライラしながらも、必死に耐えてやり直さなければならない。

抄録の書式を確認するときに、よく使うことばがある。

「盲点だな」

ゼミ生たちがなかなか気付かない書式ミスがあると、私はこのように表現する。

するとゼミ生たちは、

「(書式のミスを)教えてくれたっていいじゃん」とぶつぶつ不満を口にする。

私は、ゼミ生たちを諭す。

「卒業研究はたいへんだと思ったけど、社会に出たら仕事はもっとたいへんだったと,
先輩たちはよく言っているよ。」

ちょうどその時、今年卒業したA子からメールが届いた。

そのメールの一部には、こんなことが書かれてあった。



「学生の時、卒論やばいって思ってたのが懐かしい!

卒論とかイージー過ぎる!

やれば、終わるし、仕事に比べたら楽だったなーって最近よく思う(笑)

あの時先生言ってたこと、思い出してメールした(笑)」



よいタイミングだった。

私はこのメールをゼミ生たちに紹介した。

「今、今年卒業したゼミ生からメールが届いてね、その内容は~」

私は、先ほどのメールの文を読んだ。

ゼミ生たちは、きっとこう思うだろう。

「先輩が言うのなら間違いないだろう。やはり卒業研究はたいへんなんだ。」

ところが…

ゼミ生たちの反応は違った。

「先生、卒業生に、このように書いてメールしてくれって頼んだでしょう。やらせは止めてください。」

このゼミ生たちには、卒業研究がたいへんであることを認めたくないようであった。


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ゼミ生たちは、早く合格をもらいたくて焦っていた。

少しでも抄録やポスターの下図を修正すると、私に見せに来る。

私が昼休みにドアに「ランチ中」と張り紙をしてランチを食べていても、ゼミ生たちは強引に部屋に入って来る。

ゆっくりランチも食べていられない。

私にとって、楽しみはランチしかないのに…

そこで私は、ランチ中は居留守をつかうことにした。

研究室のドアの鍵をかければ、ゆっくりランチを食べられる。

ゼミ生たちは、きっと外出中であると思って、あきらめるだろう。

ドアに鍵をかけて、私がゆっくりランチを食べていると…

ゼミ生が数人やってきて、いきなりドアを開けようとした。

鍵がかかっていることがわかると、窓ガラスに顔を付けて、部屋の中をのぞき込む。


そして窓ガラスをドンドン叩いた。

かなり強烈だ。


怖い!

やがてゼミ生たちはあきらめて帰って行った。

ああ、助かった。




(あきらめて帰って行くゼミ生たち)




********

A子が研究室にやってきた。

A子は、卒業研究の発表の時に、特別に画用紙を使うことになっていた。

その画用紙を作るためにやってきたのだ。

その時、夕方近くだったので、私はお腹が空いていた。

私は大学の売店で買ってあったソーセージを食べようと思った。

何気なくソーセージを持って、A子に作り方を教え始めようとした。

「まず、はじめにやることは~」

その瞬間…

A子は私の言葉を途中でさえぎり、

「何、これ?」

と言いながら、ソーセージを奪い取った。

その素早さは、まさに動物的であった。


「……」

私はことばを失った。

私の片手からわずかに見えていたソーセージの一部分に、A子は敏感に反応したのだった。


さらにA子は、私の机の上にあった塩焼きそばのカップ麺も奪い取り、満足の様子であった。



(カップ麺とソーセージをゲットして満足そうなA子)



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特別ゼミは、5日間にわたって行われた。

そのうち4日間は、9時過ぎの帰宅となり、私は夕食を研究室で食べた。

夕食のお弁当は、あらかじめ売店で買っておいた。

唐揚げと半熟の卵がご飯にのっているお弁当をいつも買った。

売店で「どのお弁当が美味しいの?」と見知らぬ学生に聞いたところ、このお弁当を指さしたからである。

確かに、なかなか美味しかった。

ある日の午後6時過ぎ、私は研究室でそのお弁当を食べていた。




(3日間連続して夕食に食べたお弁当)


そこにゼミ生2人が、ポスターの下図を持ってやってきた。

私はお弁当を食べることを中断して、ゼミ生の指導をし始めた。

二人のゼミ生の指導が終わって、お弁当を再び食べようとすると…

お弁当の唐揚げがない!

ご飯の上にのっていた唐揚げがなくなっていたのだ。




(唐揚げをつまみ食いされて、ご飯だけが残っていた)




おそらく私が指導している間にB子がつまみ食いをしたのだ。

B子は、素知らぬ顔をして、研究室を去って行った。

私はおかずがなくなったお弁当のご飯だけを、もくもくと食べたのだった。


















2015年7月19日日曜日

深夜0時からの恋愛相談

ゼミ3年(ゼミ18期生)の夏合宿の初日の夜。

午後11時頃、ログハウスの2階は静かだ。

ゼミ生たちはもう寝ているのだろうか。



(深夜のログハウス)



今年のゼミ生たちは、人数が少ないためか、全体的にそれほど騒がしくない。

さて、私も寝る準備をしようかと思い、歯を磨いていた。

すると…

ログハウスの玄関が突然開いて、ゼミ生3人がワイワイ言いながら入ってきた。

男2人に女一人。(今年のゼミは男子が2人いる。)

「どこに行っていたんだ?」と私。

「夜の散歩に行っていました。そしたらね、先生~」

おしゃべりなA子が、「怖かった、怖かった」を連発する。

よくよく聞いてみると、どこかの家の窓から室内が見えて、室内に奇妙な絵が飾ってあったというのだ。

その絵がとても怖かったらしい。

「ピカソみたいな絵なんだろう。それが芸術だよ。」と私が言った。

でもA子は気持が収まらないらしい。

「今晩は眠れない」などと言っている。

「仕方ないな、そんなに怖いのなら、今晩はB男とC男の間で寝ることを許可するよ。」と私は言った。

即座にA子は言った。

「それは、遠慮しとくわ。」

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まだ午後11時過ぎだったので、散歩から帰ってきたゼミ生たちや、寝ずに起きていたゼミ生と個人面談をすることにした。

私は一人10分ぐらいで、個人面談は終わるだろうと軽く考えていた。

しかし、個人面談をはじめて見ると、そう簡単には終わらなかった。

進路の話、恋愛の話など、悩みは尽きない。

D子の恋愛の相談が終わったのが、午前0時を過ぎだった。

さあ、寝ようと思った時…

D子が言った。

「先生、E子が恋愛の相談があると言っています。悩んでいて、胃が痛くて、眠れないと言っています。」

「なにー、眠れないのかー、仕方ないなあ。」

私は午前0時過ぎから、E子の恋愛の相談にのることにした。


交際している数年間、彼の特徴ある態度が、ずっと気になっていたようだった。

合宿中に送られてきたメールに、その態度が現れていて、E子は苦しんでいた。

やがて、E子の恋愛相談が終わった。

時計を見たら、午前1時。

今回の合宿は早く寝られると思ったが、そんなあまくはなかった。





(今年の料理コンテストのテーマは花火だった)



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翌朝も、朝食前に、E子は私のところにやってきた。

「先生、彼からメールが来ました…」

E子は、彼からのメールにショックを受けていた。

彼のメールの表現は、E子にとっては、かなりキツイ表現だった。

その時、E子の頬に涙が一粒転がるように落ちるのを、私は見た。

その一粒の涙が、とても美しく感じられた。

E子の清らかな心から生まれた純粋な一滴だと思った。

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ゼミ生たちは、けっこう恋愛に悩んでいたが、私のような年齢になると、とても美しく感じられる。

特に片思いや、もう少しで恋人になりそうな段階がめちゃくちゃいい。


切なくて、切なくて、そこがいい。

交際し始めると、欲求不満や浮気などの心配が出てきて、美しさが減ってしまう。

若い頃は、すぐに交際にこぎ着けることを考えてしまうけど。


ところで、E子は、その後彼と中直ししたようだった。


よかった。よかった。


2015年7月13日月曜日

トイレに閉じこもって泣いた教育実習生

今年も教育実習の季節がやってきた。

私も,学生たちの実習先に訪問することになる。

今年は,ゼミ生2人を私が担当することになった。

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まず田舎の県立高校で教育実習を行っているA子を訪ねた。

教育実習に入る前に,私はA子に念を押していた。

「この地図に,高校の正門を記入しておいて。そうでないと正門を探し回らないといけないので。」

A子は,高校の正門に印を付けて,私に教育実習の資料を持ってきた。

当日,最寄りの駅で下車し,私はA子の作成した地図を頼りに,高校に向かって歩き始めた。

おそらく順調に歩けば,15分ぐらいで高校に到着するはずだ。

ところが…

A子の作成した地図どおりに歩いていると,途中からどんどん田舎に入っていく。

山に囲まれた田をぬうようにして,道が続いている。

こんな山奥に高校があるのかな…

人も車も通らない…

しかし,やがて高校が見えてきた。

地図を確認して,正門を入ろうとすると…

これって,正門?

柵があって入れないようになっている。




(↑A子が教えてくれた“正門”)


気を取り直して,横から入れるかもしれないと思い,付近を探索した。

しかし,厳重な囲いがしてあった。

「A子にやられた! 」

私は,すばやく元の道を引き返し,どこで間違えたのかを調べ始めた。

途中で,広い道から外れている分岐点があった。

この広い道を進んでいこう。

私は高校の正門を探しながら走った。

幸い,高校の正門を見つけることができた。

約束の5分遅れで,職員室に顔を出したのだった。

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A子は普段から天然ぼけのタイプで,ミスはするが,憎めないところがあった。

教育実習でもミスの連続の様子だった。

生徒に走り幅跳びの説明をしたところ,その説明が間違っていて,生徒に舌打ちされたりしていた。

担当の指導教員に教育実習の日誌を提出したところ,「単なる私的な日記」と言われて返された。

A子は,「私,いろいろ、やらかしています」と元気なく言った。

食欲はなく,朝になって学校の行く時になると,吐き気がするという。

大丈夫かな,と私は心配になった。


(「私、やらかしています」と自虐気味のA子)

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教育実習が終わってみると,たいへんなのはA子だけではなかった。

ゼミ生のB子もけっこう大変だったらしい。

帰宅するのは午後10時過ぎがあたりまえ。

指導の担当教員以外に,厳しい教員がいて,よく注意された。

教育実習の最終日も,授業で資料を配付する時間がなくなってしまったので,担任にお願いをした。

そしたら,「担任に資料の配付を任せるって,どういうこと!」と厳しく注意されたという。

その日の夜,教育実習が終了したので,飲み会があった。

B子は,その厳しい教員の顔を見ていると,涙が止まらなくなってしまった。

そしてトイレに閉じこもって泣いた。

先生方が心配して,トイレにやってきて「出ておいで」と声をかけた。

B子は「気持が落ち着いたら,戻ります。」と応えた。

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こんな話を演習室で他のゼミ生に話ながら,B子は言った。

「もう二度と,あの学校には行きたくない。」

よほど辛い思いをしたのだろう。

A子もB子も,かなり辛い教育実習だったようだ。

まあ,社会の厳しさを少し体験できたことは,今後に役に立つと思うよ。





2015年3月17日火曜日

もらい泣きで最後のお別れ

ゼミ16期生の卒業式の朝。

研究室にゼミ4年のA子がやってきた。

「先生,これ」と言って,私に買い物のビニール袋を差し出す。

中を見ると,インスタントラーメン3個,インスタント味噌汁3個,チョコパイ,せんべいが入っている。

「さんざん食べたからね。先生の好きなチョコパイも入っているよ。」

これまで研究室に置いてあったラーメンやお菓子を勝手に食べてしまった償いに,これらの物を買って,最後に私に持ってきたのだった。



(A子が持ってきてくれたお菓子)


A子の気持のこもっているこれらの物を,私は大切に受け取った。

問題は,これらの物をしっかり隠しておかないと,今のゼミ3年生に食べられてしまうということである。

(よくよく考えてみると,昨年度の卒業生が持ってきたお菓子を,今のゼミ4年生が勝手に食べてしまっていた…)


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その後で、ゼミ生たちに配るゼミアルバムを持ってプールの横を歩いていると,母親と一緒に歩いているゼミ4年のB子に出会った。

B子は私に寄ってきて言った。

「先生,これお土産。先生はこういうお菓子が好きでしょ」

B子は韓国に旅行に行き,韓国の酒マッコリを使ったチョコレートをお土産に買ってきてくれたのだった。



(B子からもらった韓国の酒マッコリを使ったチョコレート)


確かに,私は酒を使ったチョコレートが好きだ。

今でも,研究室の机の引き出しには,ブランディーの入ったチョコレートが入っている。

でも,酒を使ったチョコレートが好きだなんて,ゼミ生に言ったことがあったかな。

どうしてB子は,それを知っていたのかな。

まさか,研究室の机の引き出しを勝手にのぞいて…


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卒業式が始まった。

ゼミ生たちは,袴をつけている。

なんだか,いつものゼミ生たちとは違う感じがする。

袴を見ると,ゼミ生たちは巣立っていくんだなと,しみじみ思う。

袴は,独特の雰囲気を醸し出す。



(ゼミ16期生の袴姿)



(皆で撮った最後のゼミ写真)

学科に別れて卒業証書授与式が終わった後…

13番教室で,2年間のゼミ活動を記録したDVDを見る。



(13番教室でDVDを見た)


DVDを見終わった後、ゼミ生たちから贈り物をもらった。

ネクタイとピン,そしてハンカチだった。


(ゼミ生からのプレゼント)


包装紙には,浜松市のデパートの名前のシールが貼ってあり,誰が買ってきたのかはバレバレだった。

実は,その時、私が身につけていたネクタイは,ゼミ9期生から卒業式の時に贈られたものだった。

これからは,ゼミ16期生から贈られたネクタイも身につけることにしよう。

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その夜。

金山のANAクラウンホテルプラザ28階。

学科の卒業パーティーが開かれた。

今度はドレス姿のゼミ生たち。



(卒業パーティーの会場でのゼミ生たち)


花束贈呈の時だった。

花束を持ってB子が私の前に立った。



(花束を持って私に前に立ったB子)


私に花束を渡した後,私に飛びつき,抱きついてきた。

腓骨神経麻痺で足首に力が入らない私は,バランスを崩して倒れかけた。

そばにいたゼミ生があわてて私を支えてくれた。

最後までおちゃめな,かわいいB子だった。

ゼミ4年の冬合宿の時も,B子は私の背中に乗りかかってきたが,私はそれに応じず,おんぶをしなかった。

でも今日で最後なので,B子を受けとめてあげたかったなと少し後悔した。

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パーティーが終わって帰ろうとする時,A子が近くにいたので声をかけた。

「厳しい職場だと思うが(A子は銀行に就職する),A子なら頑張れると思う。1年間頑張ってみて,それからこの仕事が自分に向いているがどうかを考えたらいいと思う」

私は率直な気持を口にした。

A子は「そうだね…」と言ったが、そのうち、

「私,ひでほの…ひでほの…」

何やら言っていたが言葉にならず,そのうちA子は涙ぐみ始めた。

そばに寄って来たゼミ生が,もらい泣きになりそうになって「泣かないで」と言った。

突然A子が涙ぐんだので,私も不覚を取って涙ぐんでしまった。

「先生も泣いている~」と
D子が言った。

B子が追い打ちをかけて私に声をかける。

「先生,私たちのこと,一番…愛…」

その後を私に言わせようとする。

「愛しているよ」と私は言った。

B子は満足そうな顔をした。


ゼミ16期生たちと,
もらい泣きの最後の別れでした。

5年前のクリスマスカード

3月7日土曜日,午後7時。

名駅のレジャック5階。

見渡すと,8人の懐かしい顔がそろっている。

ゼミ11期生の同窓会だ。

他県からわざわざ駆けつけたゼミ生もいた。





(ゼミ11期生の同窓会)



(同窓会の様子)


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ゼミ11期生は,卒業して5年が経過した。

二十代後半の女性になっていた(このような表現は怒られそうだが)。

近況をたずねてみる。

結婚しても浮気をしたゼミ生や,刺激を求めて転職を繰り返すゼミ生がいた。


現在でも個性を十分に発揮している。

卒業して5年が経過しても,大学時代の行動傾向は変わらない。

「やっぱり,大学時代と同じだね。」と思いつつも,その変わらなさが妙に安心感をもたらす。

できることなら,ずっと変わって欲しくないと思ってしまう。

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そして…

話題はいつしか恋愛についてになっていた。

他県からわざわざ駆けつけたA子は,恋愛について悩みを持っていた。

結婚している同僚との不倫,その後交際した彼に身体を触られることの嫌悪感など。

さまざまな体験をどのように受けとめたらよいのか,その意味づけに苦しんでいるように思えた。

その体験を昔の友人に話し,自分の気持ちを整理したくて,わざわざ同窓会に何時間もかけて駆けつけたようであった。


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またB子の話も,私にとっては印象深かった。

以前は結婚をしたいと思っていたが,最近は,結婚というより,早く子どもが欲しいと思うようになった。

安全に出産をするためには,出産適齢期が大切だ。

そう考えると,それほど年齢的に余裕があるわけではないことに気がついた(私には十分余裕があると思えるのだが…)。

友人と一緒に合コンに参加しているが,男性に対する評価のポイントは、
性格とか趣味とか,一緒に生活する上で重要なものだという。

「顔なんてどうでもいい」という。

確かに,結婚を前提に考えると,そのとおりだ。

結婚適齢期を迎えた女性の素直な心情が表現されていた。


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ひとしきり話が出た後で,大学時代の昔話になった。

私が、当時記録した
ゼミ11期についての日記を読んで聞かせた。

いつもは日記などつけないが、たまたまゼミ11期だけは、日記をつけていた時があった。

「平成20年12月22日月曜日。


今日は金山でゼミ3年生の忘年会だった。

はじめての飲み会で,皆テンションが高かったなあ。(中略)

またB子がクリスマスカードを作ってくれてうれしかった。

ゼミ生からクリスマスカードをもらったのは,初めてだったから。

大切に保存しておこうと思った。」

B子は、私にクリスマスカードを贈ったことをすっかり忘れていた。



実は,この時B子からもらったクリスマスカードは,現在も残っている。



(大学3年の時にB子からもらったクリスマスカード)

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C子が言った。

「笹竹ゼミでよかったと思う。今でも皆とこんな話ができる。」

「私もそう思う。」と他県から駆けつけたA子も言った。

特にゼミ11期は,卒業してからも連帯感がすごい。

卒業してから5年が経過するのに,同窓会の雰囲気は,大学時代のゼミそのものだった。

そして,毎年私に送られてくる年賀状の枚数がもっとも多いのは,ゼミ11期だ。


今でも大学時代を大切にしているように感じられる。

社会に出てみると,利害関係がまったくなく,自由に素直に自分の気持ちを安心して語れる友人は,本当に貴重だ。

これからも,ゼミの仲間を大切にしていこうね。


なお余談ですが、この同窓会の間に、私は左腓骨神経麻痺になり、左足首に力が入らなくなりました。

なんとか帰宅したものの、その後、通院をすることになりました。神経麻痺ということで、飲酒もできなくなり…
















2015年3月16日月曜日

深夜2時まで卒業研究

2月のある暖かな日に…

大府市勤労文化会館の一室にゼミ3年生がいる。


ゼミ3年の冬合宿だ。


皆、もくもくと卒業研究に取り組んでいる。


今年から、就職活動の開始時期が変わる。


これまでは12月開始だったが、今年からは3月開始となる。

つまり、就職活動のために、4年の前期は卒業研究をしている時間がないのだ。


そのためこの合宿で、卒業研究を進めておきたいのだ。


ゼミ生たちは、けっこう真剣に卒業研究に取り組んでいた。


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午後10時頃…


卒業研究でわからないことがあったら、私の部屋を尋ねてくることになっていた。


あるゼミ生が質問に来たので尋ねてみた。


「皆、部屋で、ちゃんと卒業研究をやっているかな」


「ちゃんとやっていますよ。誰も喋らないので、部屋はシーンとなっています。」


「おお!」


思いのほか、ゼミ生たちはまじめに卒業研究に取り組んでいる様子であった。


それにしても、部屋がシーンとなっていることにはびっくりしたな。


すると…


数人のゼミ生が私の部屋にやってきた。


皆、パソコンを持参している。


「ん? 自分たちの部屋ではやらないのかな」


これらのゼミ生たちは、他のゼミ生よりも、卒業研究が遅れていた。


早く皆に追いつこうとして、焦っていた。


効率よく卒業研究を進めるために、自分たちの部屋ではなく、私の部屋でやろうと考えたようであった。

わからないことがあったらすぐに私に質問できるので、好都合と考えたのだろう。


パソコンを立ち上げると、カタカタとキーボードを打ち始めた。

そして、午後11時が過ぎ、そして12時が過ぎ、そして午前1時になった。


ゼミ生たちは、自分たちの部屋に戻ろうとしない。

皆、必死なのだ。




まあ、気持はわからなくもないが、さすがに午前1時をまわると、疲れて眠たくなる。

私は、部屋の隅で寝転んで目をつぶった。

それを見たA子が言った。

「先生、かわいそう。フフフ、でも寝かせてあげない~」

そう言って、再びパソコンの画面に向かっていった。




(午前1時頃の私の部屋。右がA子)


他のゼミ生も、私が寝転んでも、見て見ぬふりをして、まったく黙殺していた。


結局、ゼミ生たちが私の部屋から出て行ったのは、午前2時少し前だった。

学生に付き合うのも楽ではない。

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翌朝…


昨夜、頑張ったらしく、皆疲れた表情をしている。


合宿は三日目で、けっこうストレスがたまっている。


人一倍ストレスを抱えたB子が言った。


「先生、おせんべいが食べたい。」


疲れていると、塩気のある食べ物が欲しくなる。

「そんなもの、あるわけないだろう。」と私は言った。


すると、B子は黙って、私のバックに近づいてきた。


実は、私も疲れていて、塩気が欲しくなり、昨日アオキスーパーで、おせんべいを買ってあったのだ。


おそらくB子はそれを知っていたのだろう。

B子は、私のバックのチャックを開け、おせんべいの袋を取りだして、数個のかたまりをつかみ、再びチャックを閉めた。






(B子がバックからおせんべいを抜き取る犯行の瞬間)


やがて、バリバリとB子がおせんべいを食べる音がした。



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おせんべいは食べられたものの、この合宿で卒業研究がかなり進んだ。

全員、抄録やモデル図がほぼ完成した。


だから、おせんべいの数個のかけらなど、我慢しなければならない。

この調子で4年生の前期を乗り切ろう。






2015年2月22日日曜日

「4年生がいなくて気楽だ~」と叫ぶ3年生


試験が終わったその日…

ゼミ3年生が研究室に集まってくる。

卒業研究のモデル図や抄録をやろうとする学生もいれば、履歴書を作成しようとする学生もいる。

もうすぐゼミ合宿があるので、それまでに完成させたいと思っているのだ。



(研究室でおしゃべりするゼミ3年生たち)


つい先日までは、ここにはゼミ4年生が集まり、卒業研究をやっていた。

それが今ではゼミ3年生が集まって、卒業研究をやっている。

毎年、このような情景が繰り返されていく。

学生たちが私の目の前に現われては去り、そして別の学生たちが私の目の前に現われる。

時の流れを実感する。

*********

ある学生がソファに腰をおろしながら叫んだ。

「4年生がいないから、気楽だ~」

実感がこもった言い方だった。

「あの先輩、怖かったね。」と別の学生も口をそろえる。

「そうそう、~という感じだったしね。」

卒業研究が終わって、怖い4年生はもう研究室に顔を出さないので、気楽さを感じているようだった。

やはり先輩ということで、3年生にしてみれば、4年生は怖い存在のようだ。

ただこの現象は、今年に限ったことではない。

どんな時代でも、先輩は怖い存在なのだ。

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羽を伸ばし始めた3年生のA子は、さっそく研究室の隅でごそごそやっていた。

やがてお菓子の入ったボックスを見つけ出して、持ってきた。

そのボックスには、私の好きなチョコパンの棒が入っていた。

それを勝手に食べ始めた。

4年生がお菓子を探し出して食べていたので、そのマネをしているのだ。

4年生が怖いというくせに、こういうところは、ちゃっかりマネをしている。

A子は「私、これが好きなの」と言って、5本ぐらい食べていた。

そばにいたゼミ生たちも一緒になって食べていた。

私の分の1個を残して、全部食べられてしまった。

歴史は繰り返されるということか…



(ゼミ3年生たちに食べられたチョコパン。袋が散乱している。)


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そのうち、B子が研究室にやってきた。

「先生、香港に行って、先生にお土産を買って…、あっ、なんでここにあるの!」

研究室のテーブルの上には、海外のフルーツ果汁の飴の缶が置いてあった。

私が成城石井で買ってきたものだ。


(研究室のテーブル置いてあるフルーツの飴)



B子は、このフルーツ果汁の飴の缶を、香港で買ってきたようだった。

「先生は、飴が好きなので、買ってきたのに…」とB子は言った。

ありがとう、気持はうれしいよ。

これに懲りずに、また私にお土産を買ってきてね。