連日、演習室にこもって、卒業研究の抄録やポスターを作成する。
(今年の特別ゼミの様子。それにしても乱雑な机の上だな。)
それまで卒業研究をなめていたゼミ生たちは、ここで厳しさを思い知るのである。
まず抄録の内容で合格をもらい、次に抄録の書式で合格をもらい、次にポスターの下図で合格をもらう必要がある。
この合格は、簡単にはもらえない。
私から何回もダメ出しをされて、イライラしながらも、必死に耐えてやり直さなければならない。
抄録の書式を確認するときに、よく使うことばがある。
「盲点だな」
ゼミ生たちがなかなか気付かない書式ミスがあると、私はこのように表現する。
するとゼミ生たちは、
「(書式のミスを)教えてくれたっていいじゃん」とぶつぶつ不満を口にする。
私は、ゼミ生たちを諭す。
「卒業研究はたいへんだと思ったけど、社会に出たら仕事はもっとたいへんだったと,先輩たちはよく言っているよ。」
ちょうどその時、今年卒業したA子からメールが届いた。
そのメールの一部には、こんなことが書かれてあった。
「学生の時、卒論やばいって思ってたのが懐かしい!
卒論とかイージー過ぎる!
やれば、終わるし、仕事に比べたら楽だったなーって最近よく思う(笑)
あの時先生言ってたこと、思い出してメールした(笑)」
よいタイミングだった。
私はこのメールをゼミ生たちに紹介した。
「今、今年卒業したゼミ生からメールが届いてね、その内容は~」
私は、先ほどのメールの文を読んだ。
ゼミ生たちは、きっとこう思うだろう。
「先輩が言うのなら間違いないだろう。やはり卒業研究はたいへんなんだ。」
ところが…
ゼミ生たちの反応は違った。
「先生、卒業生に、このように書いてメールしてくれって頼んだでしょう。やらせは止めてください。」
このゼミ生たちには、卒業研究がたいへんであることを認めたくないようであった。
********
ゼミ生たちは、早く合格をもらいたくて焦っていた。
少しでも抄録やポスターの下図を修正すると、私に見せに来る。
私が昼休みにドアに「ランチ中」と張り紙をしてランチを食べていても、ゼミ生たちは強引に部屋に入って来る。
ゆっくりランチも食べていられない。
私にとって、楽しみはランチしかないのに…
そこで私は、ランチ中は居留守をつかうことにした。
研究室のドアの鍵をかければ、ゆっくりランチを食べられる。
ゼミ生たちは、きっと外出中であると思って、あきらめるだろう。
ドアに鍵をかけて、私がゆっくりランチを食べていると…
ゼミ生が数人やってきて、いきなりドアを開けようとした。
鍵がかかっていることがわかると、窓ガラスに顔を付けて、部屋の中をのぞき込む。
そして窓ガラスをドンドン叩いた。
かなり強烈だ。
怖い!
やがてゼミ生たちはあきらめて帰って行った。
ああ、助かった。
(あきらめて帰って行くゼミ生たち)
********
A子が研究室にやってきた。
A子は、卒業研究の発表の時に、特別に画用紙を使うことになっていた。
その画用紙を作るためにやってきたのだ。
その時、夕方近くだったので、私はお腹が空いていた。
私は大学の売店で買ってあったソーセージを食べようと思った。
何気なくソーセージを持って、A子に作り方を教え始めようとした。
「まず、はじめにやることは~」
その瞬間…
A子は私の言葉を途中でさえぎり、
「何、これ?」
と言いながら、ソーセージを奪い取った。
その素早さは、まさに動物的であった。
「……」
私はことばを失った。
私の片手からわずかに見えていたソーセージの一部分に、A子は敏感に反応したのだった。
さらにA子は、私の机の上にあった塩焼きそばのカップ麺も奪い取り、満足の様子であった。
*********
特別ゼミは、5日間にわたって行われた。
そのうち4日間は、9時過ぎの帰宅となり、私は夕食を研究室で食べた。
夕食のお弁当は、あらかじめ売店で買っておいた。
唐揚げと半熟の卵がご飯にのっているお弁当をいつも買った。
売店で「どのお弁当が美味しいの?」と見知らぬ学生に聞いたところ、このお弁当を指さしたからである。
確かに、なかなか美味しかった。
ある日の午後6時過ぎ、私は研究室でそのお弁当を食べていた。
そこにゼミ生2人が、ポスターの下図を持ってやってきた。
私はお弁当を食べることを中断して、ゼミ生の指導をし始めた。
二人のゼミ生の指導が終わって、お弁当を再び食べようとすると…
お弁当の唐揚げがない!
ご飯の上にのっていた唐揚げがなくなっていたのだ。
おそらく私が指導している間にB子がつまみ食いをしたのだ。
B子は、素知らぬ顔をして、研究室を去って行った。
私はおかずがなくなったお弁当のご飯だけを、もくもくと食べたのだった。
A子が研究室にやってきた。
A子は、卒業研究の発表の時に、特別に画用紙を使うことになっていた。
その画用紙を作るためにやってきたのだ。
その時、夕方近くだったので、私はお腹が空いていた。
私は大学の売店で買ってあったソーセージを食べようと思った。
何気なくソーセージを持って、A子に作り方を教え始めようとした。
「まず、はじめにやることは~」
その瞬間…
A子は私の言葉を途中でさえぎり、
「何、これ?」
と言いながら、ソーセージを奪い取った。
その素早さは、まさに動物的であった。
「……」
私はことばを失った。
私の片手からわずかに見えていたソーセージの一部分に、A子は敏感に反応したのだった。
さらにA子は、私の机の上にあった塩焼きそばのカップ麺も奪い取り、満足の様子であった。
(カップ麺とソーセージをゲットして満足そうなA子)
*********
特別ゼミは、5日間にわたって行われた。
そのうち4日間は、9時過ぎの帰宅となり、私は夕食を研究室で食べた。
夕食のお弁当は、あらかじめ売店で買っておいた。
唐揚げと半熟の卵がご飯にのっているお弁当をいつも買った。
売店で「どのお弁当が美味しいの?」と見知らぬ学生に聞いたところ、このお弁当を指さしたからである。
確かに、なかなか美味しかった。
ある日の午後6時過ぎ、私は研究室でそのお弁当を食べていた。
(3日間連続して夕食に食べたお弁当)
そこにゼミ生2人が、ポスターの下図を持ってやってきた。
私はお弁当を食べることを中断して、ゼミ生の指導をし始めた。
二人のゼミ生の指導が終わって、お弁当を再び食べようとすると…
お弁当の唐揚げがない!
ご飯の上にのっていた唐揚げがなくなっていたのだ。
(唐揚げをつまみ食いされて、ご飯だけが残っていた)
おそらく私が指導している間にB子がつまみ食いをしたのだ。
B子は、素知らぬ顔をして、研究室を去って行った。
私はおかずがなくなったお弁当のご飯だけを、もくもくと食べたのだった。