研究室にゼミ4年のA子がやってきた。
「先生,これ」と言って,私に買い物のビニール袋を差し出す。
中を見ると,インスタントラーメン3個,インスタント味噌汁3個,チョコパイ,せんべいが入っている。
「さんざん食べたからね。先生の好きなチョコパイも入っているよ。」
これまで研究室に置いてあったラーメンやお菓子を勝手に食べてしまった償いに,これらの物を買って,最後に私に持ってきたのだった。
(A子が持ってきてくれたお菓子)
A子の気持のこもっているこれらの物を,私は大切に受け取った。
問題は,これらの物をしっかり隠しておかないと,今のゼミ3年生に食べられてしまうということである。
(よくよく考えてみると,昨年度の卒業生が持ってきたお菓子を,今のゼミ4年生が勝手に食べてしまっていた…)
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その後で、ゼミ生たちに配るゼミアルバムを持ってプールの横を歩いていると,母親と一緒に歩いているゼミ4年のB子に出会った。
B子は私に寄ってきて言った。
「先生,これお土産。先生はこういうお菓子が好きでしょ」
B子は韓国に旅行に行き,韓国の酒マッコリを使ったチョコレートをお土産に買ってきてくれたのだった。
(B子からもらった韓国の酒マッコリを使ったチョコレート)
確かに,私は酒を使ったチョコレートが好きだ。
今でも,研究室の机の引き出しには,ブランディーの入ったチョコレートが入っている。
でも,酒を使ったチョコレートが好きだなんて,ゼミ生に言ったことがあったかな。
どうしてB子は,それを知っていたのかな。
まさか,研究室の机の引き出しを勝手にのぞいて…
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卒業式が始まった。
ゼミ生たちは,袴をつけている。
なんだか,いつものゼミ生たちとは違う感じがする。
袴を見ると,ゼミ生たちは巣立っていくんだなと,しみじみ思う。
袴は,独特の雰囲気を醸し出す。
B子が追い打ちをかけて私に声をかける。
「先生,私たちのこと,一番…愛…」
その後を私に言わせようとする。
「愛しているよ」と私は言った。
B子は満足そうな顔をした。
ゼミ16期生たちと,もらい泣きの最後の別れでした。
なんだか,いつものゼミ生たちとは違う感じがする。
袴を見ると,ゼミ生たちは巣立っていくんだなと,しみじみ思う。
袴は,独特の雰囲気を醸し出す。
(ゼミ16期生の袴姿)
(皆で撮った最後のゼミ写真)
学科に別れて卒業証書授与式が終わった後…
13番教室で,2年間のゼミ活動を記録したDVDを見る。
DVDを見終わった後、ゼミ生たちから贈り物をもらった。
ネクタイとピン,そしてハンカチだった。
包装紙には,浜松市のデパートの名前のシールが貼ってあり,誰が買ってきたのかはバレバレだった。
実は,その時、私が身につけていたネクタイは,ゼミ9期生から卒業式の時に贈られたものだった。
これからは,ゼミ16期生から贈られたネクタイも身につけることにしよう。
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その夜。
金山のANAクラウンホテルプラザ28階。
学科の卒業パーティーが開かれた。
今度はドレス姿のゼミ生たち。
花束贈呈の時だった。
花束を持ってB子が私の前に立った。
私に花束を渡した後,私に飛びつき,抱きついてきた。
腓骨神経麻痺で足首に力が入らない私は,バランスを崩して倒れかけた。
13番教室で,2年間のゼミ活動を記録したDVDを見る。
(13番教室でDVDを見た)
DVDを見終わった後、ゼミ生たちから贈り物をもらった。
ネクタイとピン,そしてハンカチだった。
(ゼミ生からのプレゼント)
包装紙には,浜松市のデパートの名前のシールが貼ってあり,誰が買ってきたのかはバレバレだった。
実は,その時、私が身につけていたネクタイは,ゼミ9期生から卒業式の時に贈られたものだった。
これからは,ゼミ16期生から贈られたネクタイも身につけることにしよう。
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その夜。
金山のANAクラウンホテルプラザ28階。
学科の卒業パーティーが開かれた。
今度はドレス姿のゼミ生たち。
(卒業パーティーの会場でのゼミ生たち)
花束を持ってB子が私の前に立った。
(花束を持って私に前に立ったB子)
私に花束を渡した後,私に飛びつき,抱きついてきた。
腓骨神経麻痺で足首に力が入らない私は,バランスを崩して倒れかけた。
そばにいたゼミ生があわてて私を支えてくれた。
最後までおちゃめな,かわいいB子だった。
ゼミ4年の冬合宿の時も,B子は私の背中に乗りかかってきたが,私はそれに応じず,おんぶをしなかった。
でも今日で最後なので,B子を受けとめてあげたかったなと少し後悔した。
**********
パーティーが終わって帰ろうとする時,A子が近くにいたので声をかけた。
「厳しい職場だと思うが(A子は銀行に就職する),A子なら頑張れると思う。1年間頑張ってみて,それからこの仕事が自分に向いているがどうかを考えたらいいと思う」
私は率直な気持を口にした。
最後までおちゃめな,かわいいB子だった。
ゼミ4年の冬合宿の時も,B子は私の背中に乗りかかってきたが,私はそれに応じず,おんぶをしなかった。
でも今日で最後なので,B子を受けとめてあげたかったなと少し後悔した。
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パーティーが終わって帰ろうとする時,A子が近くにいたので声をかけた。
「厳しい職場だと思うが(A子は銀行に就職する),A子なら頑張れると思う。1年間頑張ってみて,それからこの仕事が自分に向いているがどうかを考えたらいいと思う」
私は率直な気持を口にした。
A子は「そうだね…」と言ったが、そのうち、
「私,ひでほの…ひでほの…」
何やら言っていたが言葉にならず,そのうちA子は涙ぐみ始めた。
そばに寄って来たゼミ生が,もらい泣きになりそうになって「泣かないで」と言った。
突然A子が涙ぐんだので,私も不覚を取って涙ぐんでしまった。
「先生も泣いている~」とD子が言った。
「私,ひでほの…ひでほの…」
何やら言っていたが言葉にならず,そのうちA子は涙ぐみ始めた。
そばに寄って来たゼミ生が,もらい泣きになりそうになって「泣かないで」と言った。
突然A子が涙ぐんだので,私も不覚を取って涙ぐんでしまった。
「先生も泣いている~」とD子が言った。
B子が追い打ちをかけて私に声をかける。
「先生,私たちのこと,一番…愛…」
その後を私に言わせようとする。
「愛しているよ」と私は言った。
B子は満足そうな顔をした。
ゼミ16期生たちと,もらい泣きの最後の別れでした。