2015年7月13日月曜日

トイレに閉じこもって泣いた教育実習生

今年も教育実習の季節がやってきた。

私も,学生たちの実習先に訪問することになる。

今年は,ゼミ生2人を私が担当することになった。

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まず田舎の県立高校で教育実習を行っているA子を訪ねた。

教育実習に入る前に,私はA子に念を押していた。

「この地図に,高校の正門を記入しておいて。そうでないと正門を探し回らないといけないので。」

A子は,高校の正門に印を付けて,私に教育実習の資料を持ってきた。

当日,最寄りの駅で下車し,私はA子の作成した地図を頼りに,高校に向かって歩き始めた。

おそらく順調に歩けば,15分ぐらいで高校に到着するはずだ。

ところが…

A子の作成した地図どおりに歩いていると,途中からどんどん田舎に入っていく。

山に囲まれた田をぬうようにして,道が続いている。

こんな山奥に高校があるのかな…

人も車も通らない…

しかし,やがて高校が見えてきた。

地図を確認して,正門を入ろうとすると…

これって,正門?

柵があって入れないようになっている。




(↑A子が教えてくれた“正門”)


気を取り直して,横から入れるかもしれないと思い,付近を探索した。

しかし,厳重な囲いがしてあった。

「A子にやられた! 」

私は,すばやく元の道を引き返し,どこで間違えたのかを調べ始めた。

途中で,広い道から外れている分岐点があった。

この広い道を進んでいこう。

私は高校の正門を探しながら走った。

幸い,高校の正門を見つけることができた。

約束の5分遅れで,職員室に顔を出したのだった。

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A子は普段から天然ぼけのタイプで,ミスはするが,憎めないところがあった。

教育実習でもミスの連続の様子だった。

生徒に走り幅跳びの説明をしたところ,その説明が間違っていて,生徒に舌打ちされたりしていた。

担当の指導教員に教育実習の日誌を提出したところ,「単なる私的な日記」と言われて返された。

A子は,「私,いろいろ、やらかしています」と元気なく言った。

食欲はなく,朝になって学校の行く時になると,吐き気がするという。

大丈夫かな,と私は心配になった。


(「私、やらかしています」と自虐気味のA子)

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教育実習が終わってみると,たいへんなのはA子だけではなかった。

ゼミ生のB子もけっこう大変だったらしい。

帰宅するのは午後10時過ぎがあたりまえ。

指導の担当教員以外に,厳しい教員がいて,よく注意された。

教育実習の最終日も,授業で資料を配付する時間がなくなってしまったので,担任にお願いをした。

そしたら,「担任に資料の配付を任せるって,どういうこと!」と厳しく注意されたという。

その日の夜,教育実習が終了したので,飲み会があった。

B子は,その厳しい教員の顔を見ていると,涙が止まらなくなってしまった。

そしてトイレに閉じこもって泣いた。

先生方が心配して,トイレにやってきて「出ておいで」と声をかけた。

B子は「気持が落ち着いたら,戻ります。」と応えた。

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こんな話を演習室で他のゼミ生に話ながら,B子は言った。

「もう二度と,あの学校には行きたくない。」

よほど辛い思いをしたのだろう。

A子もB子も,かなり辛い教育実習だったようだ。

まあ,社会の厳しさを少し体験できたことは,今後に役に立つと思うよ。