試験が終わったその日…
ゼミ3年生が研究室に集まってくる。
卒業研究のモデル図や抄録をやろうとする学生もいれば、履歴書を作成しようとする学生もいる。
もうすぐゼミ合宿があるので、それまでに完成させたいと思っているのだ。
(研究室でおしゃべりするゼミ3年生たち)
つい先日までは、ここにはゼミ4年生が集まり、卒業研究をやっていた。
それが今ではゼミ3年生が集まって、卒業研究をやっている。
毎年、このような情景が繰り返されていく。
学生たちが私の目の前に現われては去り、そして別の学生たちが私の目の前に現われる。
時の流れを実感する。
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ある学生がソファに腰をおろしながら叫んだ。
「4年生がいないから、気楽だ~」
実感がこもった言い方だった。
「あの先輩、怖かったね。」と別の学生も口をそろえる。
「そうそう、~という感じだったしね。」
卒業研究が終わって、怖い4年生はもう研究室に顔を出さないので、気楽さを感じているようだった。
やはり先輩ということで、3年生にしてみれば、4年生は怖い存在のようだ。
ただこの現象は、今年に限ったことではない。
どんな時代でも、先輩は怖い存在なのだ。
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羽を伸ばし始めた3年生のA子は、さっそく研究室の隅でごそごそやっていた。
やがてお菓子の入ったボックスを見つけ出して、持ってきた。
そのボックスには、私の好きなチョコパンの棒が入っていた。
それを勝手に食べ始めた。
4年生がお菓子を探し出して食べていたので、そのマネをしているのだ。
4年生が怖いというくせに、こういうところは、ちゃっかりマネをしている。
A子は「私、これが好きなの」と言って、5本ぐらい食べていた。
そばにいたゼミ生たちも一緒になって食べていた。
私の分の1個を残して、全部食べられてしまった。
歴史は繰り返されるということか…
(ゼミ3年生たちに食べられたチョコパン。袋が散乱している。)
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そのうち、B子が研究室にやってきた。
「先生、香港に行って、先生にお土産を買って…、あっ、なんでここにあるの!」
研究室のテーブルの上には、海外のフルーツ果汁の飴の缶が置いてあった。
私が成城石井で買ってきたものだ。
(研究室のテーブル置いてあるフルーツの飴)
B子は、このフルーツ果汁の飴の缶を、香港で買ってきたようだった。
「先生は、飴が好きなので、買ってきたのに…」とB子は言った。
ありがとう、気持はうれしいよ。
これに懲りずに、また私にお土産を買ってきてね。