2015年3月16日月曜日

深夜2時まで卒業研究

2月のある暖かな日に…

大府市勤労文化会館の一室にゼミ3年生がいる。


ゼミ3年の冬合宿だ。


皆、もくもくと卒業研究に取り組んでいる。


今年から、就職活動の開始時期が変わる。


これまでは12月開始だったが、今年からは3月開始となる。

つまり、就職活動のために、4年の前期は卒業研究をしている時間がないのだ。


そのためこの合宿で、卒業研究を進めておきたいのだ。


ゼミ生たちは、けっこう真剣に卒業研究に取り組んでいた。


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午後10時頃…


卒業研究でわからないことがあったら、私の部屋を尋ねてくることになっていた。


あるゼミ生が質問に来たので尋ねてみた。


「皆、部屋で、ちゃんと卒業研究をやっているかな」


「ちゃんとやっていますよ。誰も喋らないので、部屋はシーンとなっています。」


「おお!」


思いのほか、ゼミ生たちはまじめに卒業研究に取り組んでいる様子であった。


それにしても、部屋がシーンとなっていることにはびっくりしたな。


すると…


数人のゼミ生が私の部屋にやってきた。


皆、パソコンを持参している。


「ん? 自分たちの部屋ではやらないのかな」


これらのゼミ生たちは、他のゼミ生よりも、卒業研究が遅れていた。


早く皆に追いつこうとして、焦っていた。


効率よく卒業研究を進めるために、自分たちの部屋ではなく、私の部屋でやろうと考えたようであった。

わからないことがあったらすぐに私に質問できるので、好都合と考えたのだろう。


パソコンを立ち上げると、カタカタとキーボードを打ち始めた。

そして、午後11時が過ぎ、そして12時が過ぎ、そして午前1時になった。


ゼミ生たちは、自分たちの部屋に戻ろうとしない。

皆、必死なのだ。




まあ、気持はわからなくもないが、さすがに午前1時をまわると、疲れて眠たくなる。

私は、部屋の隅で寝転んで目をつぶった。

それを見たA子が言った。

「先生、かわいそう。フフフ、でも寝かせてあげない~」

そう言って、再びパソコンの画面に向かっていった。




(午前1時頃の私の部屋。右がA子)


他のゼミ生も、私が寝転んでも、見て見ぬふりをして、まったく黙殺していた。


結局、ゼミ生たちが私の部屋から出て行ったのは、午前2時少し前だった。

学生に付き合うのも楽ではない。

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翌朝…


昨夜、頑張ったらしく、皆疲れた表情をしている。


合宿は三日目で、けっこうストレスがたまっている。


人一倍ストレスを抱えたB子が言った。


「先生、おせんべいが食べたい。」


疲れていると、塩気のある食べ物が欲しくなる。

「そんなもの、あるわけないだろう。」と私は言った。


すると、B子は黙って、私のバックに近づいてきた。


実は、私も疲れていて、塩気が欲しくなり、昨日アオキスーパーで、おせんべいを買ってあったのだ。


おそらくB子はそれを知っていたのだろう。

B子は、私のバックのチャックを開け、おせんべいの袋を取りだして、数個のかたまりをつかみ、再びチャックを閉めた。






(B子がバックからおせんべいを抜き取る犯行の瞬間)


やがて、バリバリとB子がおせんべいを食べる音がした。



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おせんべいは食べられたものの、この合宿で卒業研究がかなり進んだ。

全員、抄録やモデル図がほぼ完成した。


だから、おせんべいの数個のかけらなど、我慢しなければならない。

この調子で4年生の前期を乗り切ろう。