大府駅前でゼミ3年の忘年会が開かれた。
授業がないので,皆,忘年会のためだけに,自宅から集まって来た。
本当はキャンセルしたかったのだが,さすがに当日は無理だった。
この居酒屋は,普段はサラリーマンで賑わう。
学生がこの居酒屋で飲むことはほとんどない。
サラリーマン向けだから、この店の料理は美味しかった。
(ゼミ3年の忘年会)
忘年会が始まって,私の前に座ったA子が語り始めた。
数ヶ月前に彼に別れを言い渡された。
A子は彼に愛情を持っていたが,別れを受け入れた。
彼は結婚を意識していたが,今のA子はそこまでの意識に至っていなかったからだ。
でも,その後も彼は連絡を取ってきて,現在でも会っている。
まだ愛情を持っているような思わせぶりな態度を彼は示す。
そのたびに,A子は気持がときめき,そして切なくなる。
私のこと,どう思っているの?
私はどうしたらいいの?
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すると,そばで聞いていたB子が言う。
「私も,同じような感じ。思いを寄せる彼がいるけど,はっきりしない関係が続いている。でも先生に相談したら,その関係を続けろって言うの。」
このような恋愛の悩みはけっこう多い。
そして私のアドバイスはいつも同じだ。
「はっきりしない関係を続けること。白黒つける必要はない。」
心惹かれる相手の気持ちを思い,相手のわずかな態度や言葉に,ワクワク,ドキドキすることは,心が煌めく瞬間だ。
とっても繊細で,落ち込んだり,幸せを感じたり,浮き沈みは激しいけれど,美しく輝いている瞬間だと思う。
交際していないだけに,純粋な愛が経験される。
でも…
交際が始まると,俗的な悩みが出てくる。
彼は浮気をしていないか…
長男だけど結婚はうまくいくか…
そしてマンネリ化してきて,刺激が乏しくなってくる。
こんな持論をゼミ生相手に話をする。
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するとC子が反論する。
「私,マンネリ化しているかもしれないけど,でも彼と一緒にいると,心が落ち着くんです…」
C子は年上の彼と交際している。
数ヶ月前に彼と別れたが,彼に精神的に依存していることを自覚して,交際を復活させている。
たしかに,女の子はこのような場合がある。
交際する彼ができると,心が落ち着くのだ。
でもワクワク感はないが,おそらく,それはマンネリ化とは言わない。
マンネリ化とは,心が落ち着きすぎて,むしろ退屈で,話題がなくなる状態のことだ。
彼にあれこれと話すことが一杯あり,それを話すことで心が落ち着くのであれば,ワクワク感がなくてもいいと思う。
でも,私の年齢になると,やはりドキドキする切ない恋がとても貴重に思える。
それは,青春時代にしか体験できないからだ。
だから,無理して,交際に持ち込むことはない。
ドキドキする切ない恋を大切にしてほしいと思う。