2014年12月23日火曜日

先生に仕返し

熱気ある演習室。

皆黙々と卒業研究に取り組んでいる。





(今年のゼミ4年の卒業研究の様子)

今年の4年生は優秀な学生が多い。

それでも皆卒業研究に苦しんでいる。

ゼミ生の提出してきた本文を読んで,私が評価する。

私がなかなか合格を出さないので,皆イライラしている。

おまけに私が授業や会議に出席するために不在になることが多く,指導を受けられないので皆困っている。


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ゼミのある日,5限に精神保健の授業があった。

私が授業に行っている間,指導を受けることができない。

そのためゼミ生たちは,授業を休講にしてほしいという。

そんなことはできない。

それなら,早く授業を終わって戻ってきて欲しいと言う。

そんなこともできない。

授業に出てみると,この授業を受講しているゼミ4年生が一番前の席に座っていた。

なんと「授業を早く終われ」という紙を机に貼っている。





(教室の一番前に座っているゼミ生)


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ある日…

私が会議で研究室を留守にしたことがあった。

その時,研究室にはA子,B子,C子がいた。

そして,私の悪い予感は当たった。

会議が終わって戻ってきてみると,隠してあったビスケットとチョコパイの袋がテーブルの上にあった。



(隠してあった大切なお菓子が…)



それを、ゼミ生たちは美味しそうに食べていた。

「俺のお菓子が…」

「いいえ,違います。私たちが買ってきたお菓子です」(キッパリ)

「実は,お菓子の袋に密かに印を付けてあるんだ」と私がデタラメを言うと…

A子は袋を手に取って探し始めた。

「やっぱり,俺のお菓子じゃあないか」



ゼミ生たちは,すなおに認めたものの,こう言った。

「先生のパンとポタージュの素を、この部屋のどこかに隠したので,探してごらん」

この発言にはある意味が隠されていた。


卒業研究の書式ミスがあっても,私はそれを具体的に指摘せず,「どこにあるか,探してごらん。」と言っていた。

ゼミ生たちが「わからないので,教えてください」と言うと,

「中学生でもわかるミスだ」と突っぱねていた。





(ホワイトボードのゼミ生の落書き)



ゼミ生たちは,ミスを探す作業にイライラしていた。

この仕返しをしようとしているのだ。

書式ミスを探し出すことがたいへんなので,私に探し出す苦労を味合わせようとしているのだ。

私がパンと
ポタージュの素を探している様子をゼミ生たちは面白がって,スマホで写真に撮っていた。



(この穴の中にパンが隠されてあった。)




(本の間にポタージュの箱が…)



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こんな調子で,ゼミ生たちは卒業研究に取り組んでいた。

大学の最終バスに乗れなかったことは,何回もあった。

D子は,他のゼミの学生に捕まり,パソコン室で書式を整える作業に付き合わされていた。

午後10時になってやっとD子は研究室に戻ってきた。

疲れた顔をしている。

「先生,私たちをタクシーで駅まで送るか,ピザまんをおごるか,どちらがいいですか。」

D子は無情な要求を突きつけてきた。

つい,かわいそうになって「うーん,ピザまんかな」と私が口にする。

ゼミ生3人と一緒に,共和駅まで歩き,その途中のコンビニでピザまんを買うつもりであった。

しかし列車の発車時刻が迫っていたので,時間的余裕はなく,ピザまんを買うことはできなかった。

皆疲れた顔つきで,電車に乗り込んだ。





(大府駅にて 午後10時30分頃)


卒業研究は、やっぱり今年もたいへんだった。