2014年2月1日土曜日

ゼミの掟(おきて)を破った二人

卒業研究発表会。

ゼミ4年生にとっては、最後の大舞台。

苦しかった卒業研究からやっと解放される!

そして…ゼミ活動も終わる。

苦しみからの解放、そして寂しさが同時に訪れる。

それが卒業研究発表会。

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卒業研究発表会が始まった。

皆、緊張している。

そのためか、いつもより引き締まったいい顔をしている。

卒業が危ぶまれたゼミ生もいたが、なんとか無事全員が発表できた。

一番心配したA男も、これまで一番良い発表をした。

ただ立ち位置が最後まで間違っていたが…


(↑ 立ち位置で失敗したが、発表はよかったA男)
 

合宿中に、皆が寝静まった後も練習をしていたB子も、上手に発表していた。

発表会の最後、先生方の講評がある。

私がゼミ生に向かって言った。

「卒業研究、苦しんだけど、皆よく頑張りました。」

後から聞いた話だが、この私の言葉を聞いて、目を潤ませたゼミ生がいた。

よほど卒業研究に苦しんだのだろう。

卒業研究には、たぶん、ひとりひとりに苦しみのドラマがある。

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卒業研究発表会が終わった午後6時。

ゼミの打ち上げコンパが行われた。


(↑ ゼミの打ち上げコンパの乾杯)

最後のコンパらしく、突っ込んだ話が飛び出す。

「ゼミが始まったころ、皆に劣等感を感じていて、ゼミに行くのが嫌だった」

あるいは、あるゼミ生に向かって、

「彼女とうまくいかずに悩んでいた時、もっと心を開いて話してほしかった。あっ、先生、ここビデオ撮るところじゃあないから。」

と言うゼミ生もいた。


(↑ 「あっ、先生、ここビデオ撮るところじゃあないから」というゼミ生)


しばらくすると…

隣に座ったC子が私に言った。

C子 「先生、ゼミ内では、男女交際は禁止だったよね。」

私 「そうだよ。それがゼミの掟(おきて)だよ。」

C子 「そのゼミの掟を破った人たちがいるよ。B男とD子だよ。」

私 「えー、嘘だろう。」

私がすぐに信じなかったので、B男がスマホの写真を見せてきた。

その写真には…

京都の金閣寺を背景に、仲よく写っているB男とD子の姿があった。

B男とD子が交際している証拠の写真だった。



(↑ ゼミの掟を破った二人)


2か月前に、D子の方から告白をしたらしい。

D子は卒業研究に苦しみ、また心身の調子を崩していたことは知っていた。

そんなD子が、何かと面倒をみてくれるB男に心を寄せることは不思議ではなかった。

他のゼミ生たちも、この事実を知ったのはつい最近らしい。

男女交際の禁止というゼミの掟のために、ゼミ生にも秘密にしていたようだった。

合宿中に、B男がD子に膝枕をしている場面を、偶然目撃したあるゼミ生は、

「え~、嘘だろう~、お前たち、ラブラブ?」

と思わず口にして、この状況をどのように解釈したらよいか、戸惑ったという。

もうゼミ活動は終わったし、くっつこうが離れようが、もうかまわないよ。

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コンパが終わりに近づくころ…

ゼミの皆から花束をもらった。

ゼミ生からの感謝の気持ちだった。

ゼミ生たちには、私に多大なる苦労をさせたという自覚が、一応あるらしい。

メッセージが添えられてあった。

「笹竹先生へ 

今まで、たくさん迷惑をかけてごめんね。

ゼミ生より 愛をこめて…」



(↑ ゼミ生からの花束)
 

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ゼミ打ち上げのコンパの最後に、皆で集合写真を撮った。

もう卒業式まで、ゼミの全員が顔をそろえることはないだろう。



 
その時…

E子が突然泣き出した。

「さびしい…笹竹ゼミで本当によかった…」

E子の口から、嗚咽が漏れる。

仲のよいB子が肩を抱いて「さびしいよね」と言って、慰める。



(↑ さびしいと言って泣くE子)


卒業研究発表会が終わり、もうゼミ活動がないことが、急に実感としてこみあげてきたのだろう。

ゼミ活動の終わりはさびしいね。