ゼミ3年生の〇〇が研究室にやってきた。
履歴書を見てほしいという。
3年生は就活を始める時期が迫っており、履歴書を書き始める時期が来たなと思った。
履歴書を見ると、きれいな字で丁寧に書かれてあった。
おそらく、一般的には申し分のない履歴書だと思う。
ただ、笹竹ゼミ方式の視点では、問題点がある。
その問題点とは、読み手がどのように読むかの視点から、履歴書が書かれていないということだ。
別の表現をすれば、「他者の視点」が含まれていないということだ。
たとえば「趣味・特技」の欄にはどのように書くだろうか。
一般的には、「料理、書道…」などと書くことが多いだろう。
もう少し丁寧に書くとすれば、「料理(得意料理は和食)」とか「書道(〇級)」などと書くだろう。
この書き方は、履歴書に「趣味・特技」の欄があったので、単にそれを書いたに過ぎない。
「この欄には、趣味と特技を書けばいいのだな」と単純に思って書いたはずだ。
しかし、読み手はどのように読むのだろうか。
人事の担当者は、応募してきた学生の趣味や特技を知りたいわけではない。
趣味や特技をとおして、その学生の性格や人間性を読み取ろうとするはずだ。
そして、会社にとって必要な人材かどうかを判断する。
だから、その読み手の読み方を意識して、趣味・特技を書く必要がある。
たとえば…
「釣り…5年前から海釣り継続している。釣りは忍耐力が必要だが、釣れた魚をその場で調理して釣り仲間に食べさせた時の笑顔を見ると、幸せな気分を感じる。」
これを読んだ人事担当者は、こう思うだろう。
「おー、こいつは忍耐力があるな。しかも人とのつながりを大切にしている!」
そして、履歴書の選考でも、面接でも、人物に興味を持ってもらいやすい。
笹竹ゼミでは、このような履歴書を書くことが求められる。
このような考え方で、趣味・特技だけではなく、「得意科目」や「大学で学んだこと」など、すべての項目を書いていく。
だから、履歴書を完成させるにはかなりの時間がかかる。
まあ、5回ぐらいは書き直しを求められる。
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この考え方は、履歴書に限ったことではない。
先日大学院の授業で、栄養を専攻する学生が栄養カルテについて発言した。
その大学院生の発言を聞いていると、栄養診断の結果をそのまま書いているようだった。
つまり、相手の立場を考えることなく、栄養士の立場でのみ書いている。
これでは相手に興味を持ってもらえない。
相手が栄養カルテをどのように読むのかを想像して、書く必要がある。
笹竹ゼミ方式では、栄養カルテも書き方が違ってくる。
だから、読み手を想像して、文章を書くんだよ。