研究室のドアを激しく叩く者がいる。
誰なんだ?
するとドアが開いて、ゼミ3年生のA子とB子が入ってきた。
最近、ゼミ3年生は、研究室のドアを激しく叩いて部屋に入ってくる。
そんなこと、教えたことはないのだが…
ゼミ生は勉強を始めた。
しかし、そうな長くは続かない。
しばらくすると、二人は勉強をやめて寝てしまった。
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そこへゼミ1期生の〇〇がやって来た。
15年前の卒業生だ。
笹竹ゼミにとって初めての卒業生になる。
〇〇は大学時代、創作ダンス部に所属し、キャプテンとして活躍した。
そして心理学を学びたいと考え、本学の大学院に進学し、笹竹研究室に所属した。
大学院修了後は、アメリカのエサレン研究所に2回行き、ダンスセラピー、ヨガ、ヒーリングを学んだ。
現在は、大学の非常勤講師のほか、ライブでダンスを踊ったり、ヨガの個人インストラクターなどをしている。
いつか、鶴舞線の高架下にある小さな劇場に、彼女のライブダンスを見に行ったことがある。
ドラマーのただき出すリズム、キーボードのメロディに合わせて、不思議な踊りをしていた。
正直言って、何がよいのかわからなかった。
ただ、その不思議な踊りの雰囲気と、ビールのつまみに注文したミックスナッツのおいしさを、今でも覚えている。
彼女のキャリアをみてすごいなと思うことは、これまで取り組んできた創作ダンスに心理学をみごとに融合させていることだ。
単なるダンスではなく、そこに精神的なものを付け加えようとしている。
いつか、こう言っていた。
「私は精神的なものに惹かれる。だから結婚する相手も、お坊さんがいい。」
その時、すごいことを言うなと感心した。
ところが、今日、そのことを彼女に話したら…
「先生!そんなこと言っていません。お坊さんがいいわけではありません!」
おかしいな。確かに彼女はそう言ったと思うのだが…
機会があったら、また彼女がライブで踊るダンスを見てみたいと思っている。