今年もゼミの募集の時期がやってきた。
笹竹ゼミ17期生となる。
今年3月にゼミ14期生が卒業していったばかりなのに、もう17期生がゼミに入ってくるのか…
月日の流れるのが早い。
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募集の提出日。
笹竹ゼミを希望する学生は何人いるのだろうか。
以前は、多くのゼミ生がいた方がにぎやかでいいと思っていた。
最近は、人数よりも、意欲的な学生を丁寧に指導したいという気持ちが強くなっている。
今年は、笹竹ゼミを第一希望にした学生は12人だった。
今年も全員女子。
あいかわらず男子には人気がない。
希望調査用紙を読んでいると、面白い表現に目が止まった。
「私は笹竹ゼミに入りたいのです。(中略)正直、笹竹先生の得体の知れない雰囲気に不安もなくはないのですが…」
俺って、得体の知れない雰囲気なの?
これまでの人生のなかで、こう言われたことはなかった。
でも、面白いと思った。
この学生は、おそらくユニークな見方をする子に違いない。
この学生は、最近考えていることとして、「スポーツ選手にはイケメンが多い」と書いている。
いつも勝負していると生き生きとしてくるし、また顔だけでなく人間性も磨かれ、トータルとしてイケメンになるという理屈だ。
でも、友人に話すと否定的な意見がほとんど。
だから、このことを卒業研究で調べて、納得する結果を出したいというのだ。
この感性は好きだ。
スポーツ選手にはイケメンが多いなんて、誰も思わない。
常識にとらわれない感性を持っている。
私は、スポーツ選手にはイケメンが多いとは思わないが、似たような経験はある。
部活の最中に、グランドでゼミ生に会うことがある。
うっすら汗をかいて、表情が生き生きしている。
ゼミの時間で見る時よりも、すてきなオーラが出ている。
しかし、特定のゼミ生をほめると、他のゼミ生から「えこひいき」と言われてしまうので、一度もそのことを口にしたことはない。
こういうことに関しては、女の子は敏感だからね。
だから、この学生の気持ちはわかるような気がする。
卒業研究が楽しみです。
ただデータを取ることは難しいかもね。
熱いシャワーが気持ちいい。
朝7時。
多治見でのゼミ3年の合宿。
昨夜、ゼミ生の個人面談が終わったのが午前1時。
入浴をせず、寝てしまったので、朝シャワーを浴びることにした。
シャワーを終えて着替えていると、何か物音がする。
ゴー。
こんな朝早くから何の音?
廊下に出てみると…
なんとゼミ生たちは皆で部屋の掃除をしている。
さっきの音は、掃除機の音だった。
ところで、なんで掃除をしているの?
朝早く起きて、掃除をしろなんて言っていないのに…
聞いてみると、朝早くパン屋のモーニング(バイキング形式)に行き、そのまま今日の会場である文化センターに直行するつもりだったようだ。
一度戻ってくるから、掃除は後にしようとゼミ生に言った。
だってゼミ生たちは荷物をまとめたらしいが、俺は全く片づけをしていない。
ゼミ生が掃除をしている隣の部屋には、俺の布団がそのまま。
というわけで、パン屋でモーニングに行った。
ドリンク付きでこれで500円はお値打ちだと思う。
明太子のフランスパンがおいしい。
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その後の合宿は、予想以上に充実していた。
就活のための面接練習をしたのだが、皆びっくりするぐらい上達した。
昼食も食べずに、夢中で練習をした成果だった。
(↑今回開発した面接の練習方法)
午後1時過ぎ、疲れ果てて、皆で吉野家に行った。
ご飯をかきこむ。
疲れてはいたが、充実感が確かに感じられる。
疲れと充実感と吉野家。
思い出に残るゼミ合宿となった。
研究室のドアを激しく叩く者がいる。
誰なんだ?
するとドアが開いて、ゼミ3年生のA子とB子が入ってきた。
最近、ゼミ3年生は、研究室のドアを激しく叩いて部屋に入ってくる。
そんなこと、教えたことはないのだが…
ゼミ生は勉強を始めた。
しかし、そうな長くは続かない。
しばらくすると、二人は勉強をやめて寝てしまった。
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そこへゼミ1期生の〇〇がやって来た。
15年前の卒業生だ。
笹竹ゼミにとって初めての卒業生になる。
〇〇は大学時代、創作ダンス部に所属し、キャプテンとして活躍した。
そして心理学を学びたいと考え、本学の大学院に進学し、笹竹研究室に所属した。
大学院修了後は、アメリカのエサレン研究所に2回行き、ダンスセラピー、ヨガ、ヒーリングを学んだ。
現在は、大学の非常勤講師のほか、ライブでダンスを踊ったり、ヨガの個人インストラクターなどをしている。
いつか、鶴舞線の高架下にある小さな劇場に、彼女のライブダンスを見に行ったことがある。
ドラマーのただき出すリズム、キーボードのメロディに合わせて、不思議な踊りをしていた。
正直言って、何がよいのかわからなかった。
ただ、その不思議な踊りの雰囲気と、ビールのつまみに注文したミックスナッツのおいしさを、今でも覚えている。
彼女のキャリアをみてすごいなと思うことは、これまで取り組んできた創作ダンスに心理学をみごとに融合させていることだ。
単なるダンスではなく、そこに精神的なものを付け加えようとしている。
いつか、こう言っていた。
「私は精神的なものに惹かれる。だから結婚する相手も、お坊さんがいい。」
その時、すごいことを言うなと感心した。
ところが、今日、そのことを彼女に話したら…
「先生!そんなこと言っていません。お坊さんがいいわけではありません!」
おかしいな。確かに彼女はそう言ったと思うのだが…
機会があったら、また彼女がライブで踊るダンスを見てみたいと思っている。
研究室のドアを、激しく叩く者がいる。
誰だ?
ドアがあいて、ゼミ3年のA子とB子が入って来た。
なんだ、ゼミ生か…
A子は座ると、教採の勉強を始めた。
(↑ 勉強するA子)
B子は、スマホを取り出して、画面を見ながら言った。
B子 「先生、元彼からメールが来て困っています…」
私 「どういう内容なの?」
B子 「また付き合ってほしいという内容です」
B子は同じ部活の先輩と交際を始めたが、彼は卒業して、他県で就職した。
遠距離恋愛になったので、B子の方から別れたのだという。
その彼が、仕事の関係で地元の近隣に戻って来れそうになるので、また交際をしたいということのようだった。
B子は、元彼が嫌いではないが、いつもそばにいてくれる男性を求めている雰囲気だった。
B子は、元彼と再び付き合う気持ちは持っていないようだった。
私 「そのメールは無視した方がいいな」
B子 「え~、返信しているけど…」
隣で勉強をしていたA子が振り向いて、口をはさんだ。
A子 「だって、元彼を嫌いというわけではないからね」
私 「だけどね、元彼を半殺しにしていることになると思うよ。メールを返信すると、元彼は、交際が復活する可能性があると思うからね」
B子 「でも…元彼と楽しかった思い出が残っているので返信しちゃう…」
私 「だからこそ、すばっと関係を切るんだよ。このままズルズル続くと、楽しかった思い出がだいなしになってしまう」
B子 「元彼には、ズバッと言ってあるんですけど…でもメールが…」
私 「どのように、元彼に伝えたの?」
B子 「地元に戻っても、付き合うとは限らないよって…」
私 「それさ~、すばっと言ったことにならないよ。付き合わない場合もあるけど、付き合う場合もあるってことだから」
B子 「…そうか…」
私 「だから、彼は期待してメールを送ってくるんだよ。」
B子 「わかりました…」
私 「おもしろいね。これは使える!」
B子 「ん…使える?何に?」
A子 「先生の授業じゃあない? ゼミ生のでこんな人がいたって、学生に話すんだよ」
B子 「え~、1回につき、使用料を払ってね。どんなふうに使うの?」
私 「教育相談の授業かな。あいまいなメッセージが誤解を生むって感じかな」
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その時、電話が鳴った。
受話器を取ると、懐かしい声が響いた。
ゼミ4期生の〇〇だった。
5年ぶりになるだろうか…
〇〇は、中学校の教員だったが、ある事情で退職し、今は自分の店を持っているとのことだった。
実は、ゼミ4期生の〇〇から聞いたある体験談は、毎年授業で学生に紹介している。
教育相談の授業で、「卓球で負け続ける彼に愛情がさめはじめ、そんな自分に驚いた」というエピソードだ。
これは、ゼミ生の時に、〇〇が私に話してくれた体験だった。
まさか、自分の体験談が、毎年授業で紹介されているとは思わないだろうね。
〇〇には感謝しているよ。
もっとも、〇〇はこのエピソードのことなんか、忘れているかも。
その後〇〇は、その彼と結婚して、今は子どももいて、幸せな日々を送っている。
今日も授業のネタをゲットできた。
ありがとう~ B子。
卒業研究で缶詰になったあの部屋。
研究室の近くにあって、いつもゼミ生の靴が並んでいたあの部屋。
カーペットは汚れ、しかもしわしわだった。
その演習室で、皆でやがやしながら、卒業研究をやったものだった。
あるいは、学園祭で必死にたこ焼き(ささ焼きという)を調理したものだった。
おそらく多くのゼミ生にとって、思い出がある部屋だろう。
実は…
ゼミ生に言ったことはなかったが、あのカーペットは、実は14年前から使っている。
だから、かなり汚いのだ(皆よくあの汚い部屋にいたね…)。
もちろん掃除機は、年に数回かけている(かなり回数が少ないが…)。
そこで、今回決心して、カーペットを取り換えることにした。
カーペットを探しにカーマホームセンターに行った。
すると、カーペット売り場の近くに、イグサの敷物が置いてあった。
表示を見ると、こう書かれてあった
「イグサは空気をきれいにし、健康的です」
これだ!
演習室を健康的な部屋にしようと、その時思った。
そこでカーペットを買うことをやめて、イグサの敷物を買った。
気分が高揚したついでに、小型の座椅子も10個買ってしまった。
休日に車でイグサの敷物と座椅子を大学に運んだ。
そして一人でカーペットを取り除いて、イグサを敷き、座椅子を並べた(誰も手伝ってくれなかった…)。
イグサの香りが漂う。
演習室が14年ぶりに蘇った感じがする。
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数日後、ゼミ14期生のミ〇コが来た。
さっそく演習室に連れて行って、自慢する。
「どう? 演習室がきれいになっただろう」
「えー、私たちのときに、なぜやってくれなかったの~」(ひがみっぽい表情)
「それは… ある研究が終わって少し時間ができたんだ…」(あわてて)
いつものように、ツッコミを忘れないミ〇コだった。
研究室で、午後1時30分から5時まで、ミ〇コの人生相談。
ミ〇コらしく、人生を歩もうとしている。
簡単なことではないけど、後悔しない人生のために、勇気をもって前に進むんだよ。
ゼミ3年生の〇〇が研究室にやってきた。
履歴書を見てほしいという。
3年生は就活を始める時期が迫っており、履歴書を書き始める時期が来たなと思った。
履歴書を見ると、きれいな字で丁寧に書かれてあった。
おそらく、一般的には申し分のない履歴書だと思う。
ただ、笹竹ゼミ方式の視点では、問題点がある。
その問題点とは、読み手がどのように読むかの視点から、履歴書が書かれていないということだ。
別の表現をすれば、「他者の視点」が含まれていないということだ。
たとえば「趣味・特技」の欄にはどのように書くだろうか。
一般的には、「料理、書道…」などと書くことが多いだろう。
もう少し丁寧に書くとすれば、「料理(得意料理は和食)」とか「書道(〇級)」などと書くだろう。
この書き方は、履歴書に「趣味・特技」の欄があったので、単にそれを書いたに過ぎない。
「この欄には、趣味と特技を書けばいいのだな」と単純に思って書いたはずだ。
しかし、読み手はどのように読むのだろうか。
人事の担当者は、応募してきた学生の趣味や特技を知りたいわけではない。
趣味や特技をとおして、その学生の性格や人間性を読み取ろうとするはずだ。
そして、会社にとって必要な人材かどうかを判断する。
だから、その読み手の読み方を意識して、趣味・特技を書く必要がある。
たとえば…
「釣り…5年前から海釣り継続している。釣りは忍耐力が必要だが、釣れた魚をその場で調理して釣り仲間に食べさせた時の笑顔を見ると、幸せな気分を感じる。」
これを読んだ人事担当者は、こう思うだろう。
「おー、こいつは忍耐力があるな。しかも人とのつながりを大切にしている!」
そして、履歴書の選考でも、面接でも、人物に興味を持ってもらいやすい。
笹竹ゼミでは、このような履歴書を書くことが求められる。
このような考え方で、趣味・特技だけではなく、「得意科目」や「大学で学んだこと」など、すべての項目を書いていく。
だから、履歴書を完成させるにはかなりの時間がかかる。
まあ、5回ぐらいは書き直しを求められる。
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この考え方は、履歴書に限ったことではない。
先日大学院の授業で、栄養を専攻する学生が栄養カルテについて発言した。
その大学院生の発言を聞いていると、栄養診断の結果をそのまま書いているようだった。
つまり、相手の立場を考えることなく、栄養士の立場でのみ書いている。
これでは相手に興味を持ってもらえない。
相手が栄養カルテをどのように読むのかを想像して、書く必要がある。
笹竹ゼミ方式では、栄養カルテも書き方が違ってくる。
だから、読み手を想像して、文章を書くんだよ。