これが最後の合宿となる。
合宿が終わるとすぐに卒業研究発表会。
そしてすべてのゼミ活動が終わる。
(今年の4年の最終ゼミ合宿の様子)
合宿では、グループに分かれて発表原稿のチェックをする。
わかりにくい点を指摘し合うのだ。
そして台本を修正し、よりわかりやすい表現にする。
笹竹ゼミでは、グループ活動を重視しているため、このような方法をとっている。
ゼミによっては、卒業研究は、教員とゼミ生の1対1で進めている。
ゼミ生は、決められた時間に研究室に行き、個別に指導を受けるのだ。
ゼミ生と1対1で、教員が指導した方が効率がよい。
学生は研究室に行けば、すぐに教員の指導を受けられる。
おそらく、笹竹ゼミのように全員集まって卒業研究を行っているところは少ないだろう。
しかし、笹竹ゼミでは、皆で一緒に相談し合い、卒業研究を作り上げていく方法をとっている。
ゼミ生たちの交流を重視しているからだ。
だから、自分の作業を終わらせて、他のゼミ生と交流を持たず、スマホで時間をつぶしながら教員の指導の順番を待つというのでは、笹竹ゼミに入った意味がない。
他のゼミ生と確認しあったり、遅れているゼミ生を助けたりすることが大切なのだ。
合宿では、ゼミ生同士の濃密な交流ができる時間が確保できる。
だから笹竹ゼミでは、合宿を重視している。
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夜になっても、ゼミ生たちは、卒業研究の台本の修正をしていた。
次々をゼミ生たちが私の部屋に来て、表現がわからないところの指導を求めて来る。
そのうち、A子とB子とC子の3人がそろって、私の部屋にやって来た。
A子が言った。
「先生!重大なミスに気がついた!」
A子が発表練習をし、B子とC子が表現をチェックしていったところ、分析結果がおかしいことに気がついたというのだ。
その説明を聞いてみると、確かにおかしい。
データ分析が間違っている…
私も見逃していたのだ(実は、よくあることだが…)
ヤ、ヤバイ!
卒業研究発表会はもうすぐだ。
今から、ポスターの下図を作り直し、発表原稿も修正し、しかもそれを覚えなければならない。
時間が足りない…
A子は焦っていた。
しかし、やらざるを得ない。
時間がないので、私が分析をし直してあげることにした。
「A子、データは持っているか」
「データがない…あっ、ゼミのUSBに入っているかも」
幸いなことに、USBにA子のデータが入っていた。
私がパソコンを立ち上げて、急いでデータの分析をする。
有意差も出て、なんとか使える結果が得られた。
よし、これでいこう。
私は結果をグラフに示し、その解釈も教えて、これらをメモしてA子たちに渡した。
「この結果をもとに、ポスターの図を考え、発表原稿を修正してごらん。」
この時、夜の午後11時を過ぎていた。
3人で、熱心な話し合いが続いている。
(3人で深夜まで話し合いが続いた)
私はその話し合いにはほとんど加わることはなかった。
この3人は、昼間から熱心にグループで力を合わせており、最後まで3人にゆだねようと思っていた。
この話し合いは、深夜1時まで続いた。
結局、ポスター3枚のうち、2枚を修正することになった。
A子が私の部屋から出るとき、言った。
「今から部屋に戻って、パソコンでポスターの下図を作り直します。」
睡眠を削ってまで作業を進め、早く皆に追いつきたいのだろう。
根性を出しているA子がいた。
(根性を出して頑張ったA子)
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このように、あわただしく合宿は過ぎていった。
ゼミ生は、精神的に追い詰められていて、皆ストレスを抱えていた。
ストレスを発散したかったのだろうか、突然、D子がステージで踊り出した。
この会場には、宴会用のステージがあった。
そのステージに上り、D子は音楽に合わせて、ソーラン節を踊っていた。
なぜソーラン節なのかは、不明である。
(突然、ソーラン節を踊り出したD子)
翌朝…
午前9時に私の部屋の電話が鳴った。
寝ぼけた声が聞こえる。
「先生~、目覚まし時計をかけ忘れて、皆、寝坊しました~」
「仕方ないな、開始を1時間遅らせよう」と私は言った。
聞いてみると、なんと、ほとんどのゼミ生は、午前3時頃まで発表練習をしていた(ただし2名は、ぐうぐう寝ていたらしい)。
ゼミ生たちは、夜になるとやる気のスイッチが入るようだった。
合宿の最終日は、発表の試験を行うことになっていた。
私の前で発表して、途中で止まったり、いい間違えをした場合は、その時点で不合格という過酷な試験だ。
ゼミ生たちは、その過酷な試験のために、頑張っていた。
(過酷な試験が始まった)
皆、仕上がりは順調だった。
あのA子は、ポスターを完成させていた。
グループのメンバーが、自分の発表練習をせずに、A子のポスターの色塗りをしてくれたのだ。
A子は皆に追いつき、もくもくと発表練習をしていた。
一時はどうなることやらと思ったが、A子は根性を出してがんばり、それをグループのメンバーが一生懸命、支えてくれた。
チームワークのおかげでここまで来れた。
皆、よくがんばったね。