用事を済ませて戻って来て、研究室のドアを開けた。
さあ、ランチだ。
おっ、女性のサンダルがある。
ゼミ生かな。
そう思って部屋の中を見ると、女性がソファに寝そべっている。
よくよく見ると、なんと今春卒業したA子だった。
(↑ 今春卒業したA子)
連絡なく、突然、研究室にやってきたのだった。
A子は、在学中、テキパキと卒業研究をこなしていた。
そして、いつも品のあるおしゃれをしていた。
しかし、今日は雰囲気が違う!
体がだるそうで、元気がない。
「どうしたんだ?」
私が声をかける。
「数日前から、微熱があって…」
いろいろ聞いてみると、仕事のストレスのようだ。
営業のノルマは厳しく、9時過ぎに帰宅して…
さすがのA子も、心身ともにまいってしまったようだった。
A子と話していると、ゼミ4年生たちが集まってきた。
ちょうど静岡県の教員採用試験が終わり、その話で盛り上がっている。
今週末は、愛知県の教員採用試験なので、皆で情報交換をしている。
ゼミ4年生が集まってきたので、A子はちょっと居心地が悪そうだった。
A子は、研究室でもっとゆっくりしたかったと思うのだが…
A子は誰かにちょうど連絡が取れて、その人に会いに帰って行った。
その後、A子は元気にやっているのだろうか…
私へのお土産に、チョコパイがテーブルの上に置いてあった。
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愛知県の教員採用試験がせまっていた。
教職をめざすゼミ4年生はちょっと興奮気味。
B子「先生、私、面接が不安でたまらないんだけど…」
私「そうだな、まっ、自分を信じることだな。」
B子「そんな当たり前のこと言わないでください!」
適当なことを言うと、鋭く突っ込まれてしまう。
そのうち、就活がうまくいかず、苦しんでいるC子も研究室にやってきた。
C子は、就活で疲れているらしく、ソファに寝転んだ。
卒業生のA子にしろ、ゼミ4年生のC子にしろ、皆よくソファに寝転ぶ。
私がソファに寝転ぶC子を、すかさず写真にとった。
(↑ 就活に疲れて寝転ぶC子)
C子「先生!盗撮はやめてください。」
私「盗撮というのは、隠れて写真を撮ることだろう。隠れて撮っていないけど。」
私の理屈にC子は不満顔。
私「そもそも、うちの研究室には個人情報の保護という概念がないんだ。」
C子「わかりました。それでは、先生のチョコパイを勝手に食べてもよいということですね。」
個人情報保護と、チョコパイと、どのような関係があるのか、よくわからなかったが…
しかし、C子の発言が決め手となって、卒業生のA子のお土産のチョコパイが被害にあった。
私が研究室を留守にした時、私の分1個を残して、研究室にいたゼミ生たちが食べてしまった。
ああ、A子のお土産が…
(↑ 私の分が1個だけ残されてあった)
この時期のゼミ4年生は、教員採用試験やら就活で、殺気だっていたのだった。