2014年7月2日水曜日

深夜の恋愛相談

ゼミ3年の夏合宿。

初日が終わり、身体のすべてにけだるい疲れが感じられる。

夜11時、私は布団の上で、パジャマに着替え、寝る準備をした。

枕元のiPodからは、以前テレビの仕事をしたときに知り合ったタレントの歌が流れている。

私の好きな曲だ。

さあ、寝るかー

と、その時…

どすん、どすんと音が鳴り響き、2階からゼミ生が階段を降りてきた。

私の部屋のドアが開いた。

「先生~、相談があるんですけど~」

数人のゼミ生が顔をのぞかせていた。

「えっ、まあ、いいよ」と私。

部屋に入ってくるなり、あるゼミ生が、

「あっ、この音楽、確か授業で聞いたような…」

「そうだよ。健康心理学の授業の時、俺の自己紹介ビデオで流している曲だよ。」

私は布団の上にあぐらをかいて、座り直した。

「でー、相談は何だ?」

もちろん聞くまでもなく、恋愛の相談に決まっていた。

あるゼミ生が恋愛についての話を始めた。

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私は恋愛の相談が好きだ。

ゼミ生の恋愛の話を聞いていると、青春を感じる。

単純には割り切れないさまざまな感情がうごめいている。

自分で自分の感情をどのように受けとめたらよいのか、わからない。

自分の感情の意味付けで苦しんでいる。

私の年齢になると、自分の感情を割り切ることができる。

若い頃と比較すると、びっくりするぐらい自分の感情の揺れが収まった。

だから悩むことが少なくなる。

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ゼミ生の恋愛はいろいろだった。

交際している彼についての悩みもあれば、別れた彼についての悩みもあった。

カウンセリングをするように、真剣にゼミ生の恋愛の話に付き合った。

すでに深夜12時を過ぎている。

疲れが出たゼミ生が、私のそばで寝始めた。

あるゼミ生のお腹を枕にして、寝ているゼミ生もいた。

ごろごろ寝ているので、ゼミ生がマグロに見えた。




(マグロのように寝るゼミ生たち、矢印の学生はお腹を枕にして寝ている。)


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合宿で使う施設の近くにパン屋がある。

高級なパン屋で、見るからにおいしそうなパンが並んでいる。

合宿になると、私はよくこのパン屋に来る。

合宿の第一日目の昼食も、ここでパンを買って食べた。





(↑ 合宿での私の昼食。左はバナナソースのフランスパン、右はカレーパン)



でも、気がついたことがある。

ゼミ生が料理コンテストで必死につくった夕食。

昨夜の夕食の残りの食材で、ゼミ生が工夫して調理した朝食。

ゼミ生の料理の方がはるかにおいしいと私は思った。

プロではないので、料理は洗練されていない。

パン屋の方が、ビジュアル的にきれいだし、おいしそうだし、高級感もある。

しかしそれだけだ。

ゼミ生のつくった料理には、それを超える何かがあった。





(↑ ゼミ生がつくった夕食。左のカップは、いろいろな具材が入った餃子スープ。)



ゼミ生の調理する後ろ姿は惹き付けられる。

普段見せることのない雰囲気が漂っている。

きっと、このゼミ生たちが母になった時、こんな感じなんだろうなと思った。

少しだけ、ゼミ生の背中が大きく見えた。

このゼミ生たちを新たに発見した合宿となった。




(↑ 夕食をつくるゼミ生たち)