2014年5月8日木曜日

殺気立つゼミ4年生の春

昼休み。

私が水道水を浄水器に入れていると…

「やっと見つけた。ずいぶん探したわ。」とゼミ4年生の声。

A子とB子だった。

教員採用試験の勉強をしている二人だ。

どうやら私を探していたらしい。

A子が言った。

「先生のズボン、いつもと違う。ベルトもおしゃれ。」

おしゃれと言われ、実はうれしかったが、そう簡単に嬉しがっては、ゼミ生に軽く見られてしまう。

そこで、あえて表情を変えないで、

「ふぅ~ん、いつものとおりだけど」

を応じておいた。

A子とB子は研究室に入ると、二人ともノートを取り出した。

「たいへんだった」とか「苦労した」などと、盛んに言い合っている。


教員採用試験の願書の受付が今日から始まったのだ。

志望動機や自己PRの文を苦労して書いたので、私に見てほしいというのだ。








(↑ 教員採用試験の願書を書くB子)



見せられたノートを見ると、なるほど、一生懸命書いた形跡が残っている。

昼休みで空腹だった私は、A子の差し出したノートをちょっと見てから、

「まっ、いいんじゃあないの」と軽く言った。

すると…

「先生! 適当! 私が何時間かかって書いたと思っているんですか!」

A子から鋭い声が飛ぶ。

B子も、しっかり見ろと言わんばかりに、ノートを突き出してくる。

A子とB子は、なかなか殺気だっている。

これはやばいぞを思い、空腹を我慢して、丁寧に読んだ。

「あのね、女の先生ではなくて、女性教員と表現した方がいいのではないかな」などと、コメントを出す。

二人に対していくつかのコメントを出したところ、納得したらしく、

「わかりました。また書き直して持ってきます。あ~あ、お腹すいた。」と言いながら、研究室を出て行った。

なんだ、二人ともお腹がすいていたのか。

二人が研究室にいたのは約20分間。

あっという間の出来事だった。


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その翌日…

今度はゼミ4年のC子が研究室に来た。

ある会社から内定をもらったが、受けようか辞退しようか、迷っているという。

C子は、授業がないのに、そのことを私に相談したくて、わざわざ大学に来たようだった。

「個人的には、その会社は辞退した方がいいと思う。」

私は率直な意見を言った。

実は、C子も辞退した方がよいかなと思っているらしかった。

ただ、辞退する電話をかけるのが嫌な様子だった。


私「まあ、辞退する電話はかけにくいが、一瞬で終わるよ。」

C子「………」

私「そんなに嫌だったら、D子に代わりに電話をかけてもらってもいいんじゃないの。」

C子「………」

ずっと迷い続けるC子だった。

C子は、昼前から午後5時まで、研究室であれこれ迷っていた。

もっとも私が会議で研究室を留守にしている間は、昼寝をしていたらしいが…

私が研究室に戻ってきた時、C子は寝ぼけていた。

C子「ファァ、先生~、留守の間、ファァ、お客さんが訪ねてきたよ、ファァ」




(↑ 寝ぼけているC子)



その後も、C子はなかなか帰ろうとはしなかった。

私は少し心配になって、時折声をかけた。

しかしC子の反応は鈍かった。

C子は何かにこだわり、辞退をするかどうか、決めかねているに違いなかった。

その姿は、女性のか弱さ、繊細さを思わせるものだった。

おそらく同年齢に男性にとっては、「守ってあげたい」と思わせ、C子の魅力を感じさせるものだろう。

(私は年配なので、何も感じないが…)

このようにして、C子の就活の戦いはまだまだ続くのであった。

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そのうちに、ゼミ4年生のE子が研究室に、ハアハア言いながらやってきた。

教員採用試験の実技のために、ハードルの練習をしていたらしい。

実際には、ハードルなしで走っただけで疲れてしまい、ハードルの練習までいかなかったようだ。

「研究室に来ても、心臓がどきどきしている」とE子は疲れた表情で言った。





( 疲れた表情を見せるE子  右↑




E子は、いつものように、苦虫をかみつぶしたような表情をして、

「もっと、体力をつけないといけない」と言った。

その真剣な表情が、第三者的には面白く(E子には怒られてしまうが…)、つい写真をとってしまった。

そのひたむきさが、E子の魅力だよ(ちょっと、フォロー)。

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このように、ゼミ4年生は、教員採用試験の準備や、会社の内定の辞退で、精神的にたいへんです。