あるカフェで、ゼミの卒業生と会った。
(ゼミの卒業生と会った喫茶店)
相談にのって欲しいことがあると電話がかかってきたのだ。
恋愛の相談だった。
お互い結婚を前提につきあっているのに、彼とうまくいっていないとのことだった。
彼女は1時間半にわたって、しゃべり続けた。
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彼女の話を聞き終わった後、彼女に語りかけた。
お互い努力して、相手の望むことを実現しようとしている。
そして、お互いが無理をし過ぎている。
個人情報のため、ゼミの卒業生の話を書くわけにはいかないが、たとえば、よくある例は…
彼女は、日常生活の愚痴や不満を彼に聞いてもらいたいと思っていたとする。
しかし、彼が愚痴を聞くのを好きではないので、彼女はできるだけ話さないように我慢している(努力している)。
一方彼は、愚痴や不満を聞くことはあまり好きではない。
しかし、彼女の日常生活の不満や愚痴を聞いて欲しいと思っているので、我慢して耳を傾けようとする(努力している)。
このようにして、お互い無理をして努力しているので、疲れてしまう。
そして機嫌が悪くなってしまう。
理想は、お互いの相性が合い、努力しなくても自然に相手の望むことが実現できることだ。
もちろん、そんな理想の相手などいないが…
お互いのすべての相性が合致しなくてもいい。
しかし、「これだけは外せない」という最低限の相性は合致していないと、一緒に暮らすにはかなりしんどい。
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そして、ゼミの卒業生の話を聞きながら、もう一つ感じたことは…
男と女の感性の違いだった。
たとえばよくある例は…
彼が浮気をしたとする。
彼女が激しく怒ったので、彼は謝った。
彼女は、「今回は許してあげる」と彼に言う。
この場合、彼女は、彼がどの程度反省してくれて、自分に優しくしてくれるかを、今後の彼の態度で見極めようとする。
ただ彼の受け取り方は違う。
彼は、許してくれた段階で、その浮気は「水に流してくれた」と受取ってしまう。
つまり彼にとってその浮気は、「なかったもの」となる。
そして、しばらくすると、彼は浮気をする。
(男女間のトラブルは、多くの場合、繰り返される…)
彼女は、「まったく反省していない!」と以前の浮気のことを思い出しながら怒る。
彼は、以前の浮気ことはまったく念頭になく、「なんで、そんなに怒るの」と、逆に切れたりする。
これは、男と女のトラブルのパターンのひとつ。
ゼミの卒業生の話のなかにも、このようなパターンが見え隠れしていた。
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実は私は、ゼミの卒業生の恋愛の話を聞きながら、青春を感じていた。
ゼミの卒業生は、何か月も前の出来事なのに、とてもリアルに語っている。
つまり、それだけ密度の濃い時間を過ごしているということだ。
その瞬間にさまざまな感情が動き、精神の活動が活発に行われている証拠だ。
私の年齢になると、1週間前の出来事さえ、あまりリアルに覚えていない。
もちろん誰と会って、どんな話をしたかぐらいの事実の記憶は残っている。
しかし、それは事実の記憶であって、自分が何を感じていたかという感情の記憶ではない。
おそらく、自分の感情を入れずに、目の前にやってくる仕事を一生懸命こなしていたということだろう。
自分の感情を入れていたら、「こんな仕事、やってられるかい」と言って、放り出すことにもなりかねない。
感情を入れずに、仕事を淡々とこなす。
まあ、これが大人なのかもしれないね。
だから、ゼミの卒業生の話を聞いていて、青春だなと感じた。
いつか、今日の話もきっといい思い出になるよ。