かなり強烈だ。
やがてドアが開いて、懐かしい顔がのぞく。
今春卒業したA子とB子だ。
A子が卒業後に研究室を訪ねてくるのは、初めてだ。
A子は、卒業後、私に何回も「会いたい」というメールを送ってきた。
仕事について悩み、私に話をしたかったようだった。
しかしA子はまだ新入社員のため自由に仕事を休めず、研究室に来ることはできなかった。
今日のA子はニコニコしている。
私はすぐにA子にたずねた。
「仕事はどう?」
「1月に退職し、ディズニーに卒業研究の続きをやりに行きます。」(笑)
A子は大のディズニー好きで、大学時代には年間パスポートを持って通っていた。
卒業研究も、ディズニーに関連した内容だった。
卒業後、大手企業に就職できたものの、夢をあきらめきれず、ディズニーで働く気持を持っていた。
A子はさらさらと語っていたが、家族と激しいバトルがあったこともほのめかしていた。
夢を追いかけるのは、若いときにしかできない。
A子がずっと願っていたことなので、自分の気持ちを尊重し、ディズニーでがんばったらよいと思う。
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「先生、アルバムどこにある?」
B子は、大学時代のアルバムを見たがった。
ゼミの卒業アルバムを渡すと、二人で見ていた。
(なつかしそうにゼミテキストとゼミアルバムを見ていた)
アルバムの最後に、ゼミのブログの文章が載っていた。
B子 「私のお母さん、このゼミのブログを読んで、涙を流したんだよ。」
私は驚いて言った。
私 「えー、どうして、このブログで泣くの?」
B子 「私の教育実習の話を読んだときにね。」
ブログには、教育実習で、厳しかった指導教員が最後にB子をほめ、思わずB子が生徒の前で涙を流したことが書かれてあった。
B子 「おかあさんが先生のこと、言っていたよ。」
私 「俺のこと、なんて言っていた?」
B子 「いい先生だねって。」
これは、いい話だ。
今のゼミ3年生と4年生にも、この話をじっくり聞かせないといかん。
これらか二人はショッピングに行くという。
心がモヤモヤしているので、ショッピングで憂さ晴らしをするらしい。
私にお土産を置いて、研究室を出て行った。
(A子とB子のお土産)
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翌日、ゼミ4年生のC子が研究室にやってきた。
卒業研究をやりに来たのだ。
C子は、9月に彼氏ができて、ルンルンだ。
頭の中は、どうも彼氏のことで一杯なようだ。
たとえば研究室のティッシュの箱には、彼の名前を書いてしまう。
(ティッシュの箱に彼の名前を書いて貼ってあった)
研究室のテーブルにも、こんなふうに書いて、テープでとめてしまう。
(研究室のテーブルにテープで留めてあった)
「先生、絶対にこれをはがさないでね。」
まあ、恋する乙女なので、しかたがない。
しばらくは、C子の恋心につきあうことにしよう。
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その翌日、ゼミ4年生のD子が研究室にやってきた。
D子「先生、お昼ご飯を買うお金がないの。この部屋に食べる物ある?」
私「食べる物はないな。」
D子「先生は嘘つきだから、信用できないわ。」
D子はそう言って、研究室を探し始めた。
私が書棚の下に隠しておいたカップラーメンを見つけ出した。
D子「やっぱりね。見つけたわ。」
D子はお湯を沸かして、カップラーメンを食べ始めた。
(カップラーメンを食べるD子)
D子には心配事があった。
卒業後に今の彼と遠距離恋愛になるのだ。
「彼は、遠距離でも頑張るって言っているけど…」
こんな時の私のアドバイスは決まっている。
遠距離が問題ではなくて、どの程度会えるかが問題だ。
たとえ遠距離であっても、月に何回か会えれば、関係は維持される。
逆に、近隣に住んでいても、あまり会えなければ関係は破綻になってしまう。
二人の引きつけ合う力が強ければ、遠距離恋愛であっても、続くと思う。
ルンルンのC子とは対照的に、心配な様子のD子であった。