2014年10月25日土曜日

夢を追いかけて

激しく研究室のドアがノックされる。

かなり強烈だ。

やがてドアが開いて、懐かしい顔がのぞく。

今春卒業したA子とB子だ。

A子が卒業後に研究室を訪ねてくるのは、初めてだ。

A子は、卒業後、私に何回も「会いたい」というメールを送ってきた。

仕事について悩み、私に話をしたかったようだった。

しかしA子はまだ新入社員のため自由に仕事を休めず、研究室に来ることはできなかった。

今日のA子はニコニコしている。

私はすぐにA子にたずねた。

「仕事はどう?」

「1月に退職し、ディズニーに卒業研究の続きをやりに行きます。」(笑)

A子は大のディズニー好きで、大学時代には年間パスポートを持って通っていた。

卒業研究も、ディズニーに関連した内容だった。

卒業後、大手企業に就職できたものの、夢をあきらめきれず、ディズニーで働く気持を持っていた。

A子はさらさらと語っていたが、家族と激しいバトルがあったこともほのめかしていた。

夢を追いかけるのは、若いときにしかできない。

A子がずっと願っていたことなので、自分の気持ちを尊重し、ディズニーでがんばったらよいと思う。

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「先生、アルバムどこにある?」

B子は、大学時代のアルバムを見たがった。

ゼミの卒業アルバムを渡すと、二人で見ていた。



(なつかしそうにゼミテキストとゼミアルバムを見ていた)


アルバムの最後に、ゼミのブログの文章が載っていた。

B子 「私のお母さん、このゼミのブログを読んで、涙を流したんだよ。」

私は驚いて言った。

私 「えー、どうして、このブログで泣くの?」

B子 「私の教育実習の話を読んだときにね。」

ブログには、教育実習で、厳しかった指導教員が最後にB子をほめ、思わずB子が生徒の前で涙を流したことが書かれてあった。

B子 「おかあさんが先生のこと、言っていたよ。」

私 「俺のこと、なんて言っていた?」

B子 「いい先生だねって。

これは、いい話だ。

今のゼミ3年生と4年生にも、この話をじっくり聞かせないといかん。



これらか二人はショッピングに行くという。

心がモヤモヤしているので、ショッピングで憂さ晴らしをするらしい。

私にお土産を置いて、研究室を出て行った。


(A子とB子のお土産)



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翌日、ゼミ4年生のC子が研究室にやってきた。

卒業研究をやりに来たのだ。

C子は、9月に彼氏ができて、ルンルンだ。

頭の中は、どうも彼氏のことで一杯なようだ。

たとえば研究室のティッシュの箱には、彼の名前を書いてしまう。


(ティッシュの箱に彼の名前を書いて貼ってあった)



研究室のテーブルにも、こんなふうに書いて、テープでとめてしまう。


(研究室のテーブルにテープで留めてあった)


「先生、絶対にこれをはがさないでね。」

まあ、恋する乙女なので、しかたがない。

しばらくは、C子の恋心につきあうことにしよう。

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その翌日、ゼミ4年生のD子が研究室にやってきた。

D子「先生、お昼ご飯を買うお金がないの。この部屋に食べる物ある?」

私「食べる物はないな。」

D子「先生は嘘つきだから、信用できないわ。」

D子はそう言って、研究室を探し始めた。

私が書棚の下に隠しておいたカップラーメンを見つけ出した。

D子「やっぱりね。見つけたわ。」

D子はお湯を沸かして、カップラーメンを食べ始めた。



(カップラーメンを食べるD子)


D子には心配事があった。

卒業後に今の彼と遠距離恋愛になるのだ。

「彼は、遠距離でも頑張るって言っているけど…」

こんな時の私のアドバイスは決まっている。

遠距離が問題ではなくて、どの程度会えるかが問題だ。

たとえ遠距離であっても、月に何回か会えれば、関係は維持される。

逆に、近隣に住んでいても、あまり会えなければ関係は破綻になってしまう。

二人の引きつけ合う力が強ければ、遠距離恋愛であっても、続くと思う。

ルンルンのC子とは対照的に、心配な様子のD子であった。