午後11時頃、ログハウスの2階は静かだ。
ゼミ生たちはもう寝ているのだろうか。
(深夜のログハウス)
今年のゼミ生たちは、人数が少ないためか、全体的にそれほど騒がしくない。
さて、私も寝る準備をしようかと思い、歯を磨いていた。
すると…
ログハウスの玄関が突然開いて、ゼミ生3人がワイワイ言いながら入ってきた。
男2人に女一人。(今年のゼミは男子が2人いる。)
「どこに行っていたんだ?」と私。
「夜の散歩に行っていました。そしたらね、先生~」
おしゃべりなA子が、「怖かった、怖かった」を連発する。
よくよく聞いてみると、どこかの家の窓から室内が見えて、室内に奇妙な絵が飾ってあったというのだ。
その絵がとても怖かったらしい。
「ピカソみたいな絵なんだろう。それが芸術だよ。」と私が言った。
でもA子は気持が収まらないらしい。
「今晩は眠れない」などと言っている。
「仕方ないな、そんなに怖いのなら、今晩はB男とC男の間で寝ることを許可するよ。」と私は言った。
即座にA子は言った。
「それは、遠慮しとくわ。」
*********
まだ午後11時過ぎだったので、散歩から帰ってきたゼミ生たちや、寝ずに起きていたゼミ生と個人面談をすることにした。
私は一人10分ぐらいで、個人面談は終わるだろうと軽く考えていた。
しかし、個人面談をはじめて見ると、そう簡単には終わらなかった。
進路の話、恋愛の話など、悩みは尽きない。
D子の恋愛の相談が終わったのが、午前0時を過ぎだった。
さあ、寝ようと思った時…
D子が言った。
「先生、E子が恋愛の相談があると言っています。悩んでいて、胃が痛くて、眠れないと言っています。」
「なにー、眠れないのかー、仕方ないなあ。」
私は午前0時過ぎから、E子の恋愛の相談にのることにした。
交際している数年間、彼の特徴ある態度が、ずっと気になっていたようだった。
合宿中に送られてきたメールに、その態度が現れていて、E子は苦しんでいた。
やがて、E子の恋愛相談が終わった。
時計を見たら、午前1時。
今回の合宿は早く寝られると思ったが、そんなあまくはなかった。
*********
翌朝も、朝食前に、E子は私のところにやってきた。
「先生、彼からメールが来ました…」
E子は、彼からのメールにショックを受けていた。
彼のメールの表現は、E子にとっては、かなりキツイ表現だった。
その時、E子の頬に涙が一粒転がるように落ちるのを、私は見た。
その一粒の涙が、とても美しく感じられた。
E子の清らかな心から生まれた純粋な一滴だと思った。
*********
ゼミ生たちは、けっこう恋愛に悩んでいたが、私のような年齢になると、とても美しく感じられる。
特に片思いや、もう少しで恋人になりそうな段階がめちゃくちゃいい。
切なくて、切なくて、そこがいい。
交際し始めると、欲求不満や浮気などの心配が出てきて、美しさが減ってしまう。
若い頃は、すぐに交際にこぎ着けることを考えてしまうけど。
ところで、E子は、その後彼と中直ししたようだった。
よかった。よかった。
(今年の料理コンテストのテーマは花火だった)
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翌朝も、朝食前に、E子は私のところにやってきた。
「先生、彼からメールが来ました…」
E子は、彼からのメールにショックを受けていた。
彼のメールの表現は、E子にとっては、かなりキツイ表現だった。
その時、E子の頬に涙が一粒転がるように落ちるのを、私は見た。
その一粒の涙が、とても美しく感じられた。
E子の清らかな心から生まれた純粋な一滴だと思った。
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ゼミ生たちは、けっこう恋愛に悩んでいたが、私のような年齢になると、とても美しく感じられる。
特に片思いや、もう少しで恋人になりそうな段階がめちゃくちゃいい。
切なくて、切なくて、そこがいい。
交際し始めると、欲求不満や浮気などの心配が出てきて、美しさが減ってしまう。
若い頃は、すぐに交際にこぎ着けることを考えてしまうけど。
ところで、E子は、その後彼と中直ししたようだった。
よかった。よかった。