2014年6月13日金曜日

不登校の生徒が感激した教育実習生

「先生、教育実習で辛いことがあったら、泣きながら電話するからね」

ゼミ4年のA子はそう言って、教育実習に入っていった。

教育実習に強い不安を抱えていたのだ。

そして3週間が経過した…

A子は、私に電話してくることはなかった。

無事、教育実習は終わったようだった。

久しぶりに研究室に卒業研究のために来たA子の表情は明るかった。

「先生、教育実習は楽しかったよ」

A子はそう言って、教育実習の話をし始めた。






(↑ 話し終わった後、卒論を取り組むA子)


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A子が担当したクラスに、不登校の女の子がいた。

週に1日、友人に連れられて午前中登校するだけだった。

ある日…

A子は時間があいたので、その生徒と話をした。

A子は一生懸命に話を聞くだけだったが、その生徒は心を開いてくれた。

これまでの辛かった出来事を、涙を流しながら語った。

教育実習の最終日…

A子はクラス全員にメッセージカードを配った。

そこには、生徒たちの長所が書かれてあった。

生徒ひとりひとりの顔を思い浮かべ、長所を考え、ことばにする作業はとても大変だった。

授業の指導案を作ることよりも、大変な作業だったという。

そのカードを受け取った生徒たちは感激し、クラスの女の子全員が涙を流した。

そして…

あの不登校の生徒も、登校してきた。

A子の教育実習の最終日のため、わざわざ登校したのだった。

メッセージカードを受け取ったその生徒は、泣きながらA子に言った。

「先生、教員採用試験に合格して、来年私のクラスの担任になってください。そうしたら、私、登校できると思う。」

このことばを聞いて、A子も泣いてしまった。

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若いってすごいことだと思う。

授業が下手でも、生徒への接し方が下手でも、生徒の気持をつかむことがある。

だから、教育実習にはドラマがある。

ただ…

A子の場合、教育実習が楽しかっただけに、普段の大学生活のペースに戻り切れていなくて困っていた。

「勉強のやる気がでな~い!」

まあ、ぼちぼち、勉強をするんだよ。

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A子から教育実習の話を聞いたその日…

今春卒業したゼミ15期のB子とC子が研究室に遊びに来た。

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

研究室のドアを思いっきり何回もノックして、研究室に入ってきた。

この荒々しい行動は、在学中と変わらない。

二人とも元気そうだ。





(↑ B子とC子)


B子は学習塾に就職した。

仕事が終わるのが午後10時で、帰宅するのは午後11時過ぎ。

夜遅くまで働くと、疲れが残る。

でも一応、順調に仕事をしている様子。

彼との交際も続いている。

B子は,社会人になって、ぐっと大人の雰囲気になった。

色っぽさが漂っている。

B子は私へのお土産を持ってきた。

大学のコンビニで買ったポテト。

「先生、これ好きでしょ。」

そう言って、私に差し出した。





(↑ B子が買ってきてくれたポテト)


昨年、卒業研究の指導のため遅くなってしまった時、夕食としてコンビニで買った記憶がある。

おそらくB子は、この時のことを覚えていて、私に買ってきてくれたのだろう。

B子の気持ちがうれしかった。

C子は宅配会社のドライバー。

20キロもある荷物を何個も運ぶことがあるらしい。

研究室で運転時の安全確認のしぐさを再現してくれた。

「左よし、右よし、後方よし」(確かこんな感じ)

すっかりドライバーの雰囲気だ。

二人とも、大学生からだんだん社会人になっていく感じがした。


二人に卒業式の写真を見せた。

この写真は、私のカメラで撮っているので、二人は見ていない。

そこには晴れ姿でにこやかな顔が写っている。






「どう、すごい綺麗に撮れているだろう。俺が撮ったんだ。」(自慢)

「ほんと、綺麗!」(B子)

ゼミ生たちが卒業していったのは、ほんの数ヶ月前だけど、遠い昔のようにも感じられる。

今度は、他のゼミ生を研究室に連れてくるように、二人に伝えた。

特に東京で研修中のゼミ生や、レンタカー会社に就職し、落ち込んでいるゼミ生をー。